経済見通しに慎重姿勢崩さず 緩和縮小観測の先行をけん制

 【共同】31日の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定の声明は、量的緩和第3弾(QE3)の規模縮小に向けた雇用情勢の改善傾向を確認したものの、景気の回復ペースについての現状認識を事実上、下方修正するなど経済見通しに慎重姿勢を崩さなかった。物価の下落傾向がリスクとなり得るとしてデフレ懸念にも言及しており、次回の9月会合での着手を織り込むなど緩和の早期縮小観測が先行する金融市場の状況をけん制したといえる。

 声明は景気認識について「今年前半の間、緩慢なペースで拡大」とし、前回の「緩やかなペースで拡大」から表現をやや弱めた。昨年末の「財政の崖」回避をめぐる与野党協議の混乱や、ことし3月の連邦歳出の強制削減開始が「経済成長を妨げている」と引き続き指摘。一方でQE3の縮小観測に伴って住宅ローン金利が上昇基調にあることにも言及した。この日の朝方に発表された4-6月期の国内総生産(GDP)速報値は1・7%増とまずまずの内容だったものの、年次改定によって1-3月期は0・1%増とほぼゼロ成長に下方修正されており、FOMCがこうしたデータを重くみていることを示唆している。

 また今回、目を引いたのは「インフレが目標の2%を恒常的に下回れば、経済成長にとってリスクとなり得る」と、物価の下落傾向に対する懸念を盛り込んだ点だ。ことし投票権を持つメンバーであるセントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は前回6月の会合で、物価が下がり気味に推移していることを考えれば、インフレ目標を守る姿勢を強く打ち出すべきだとして政策決定に反対した。今回は、物価安定に取り組みデフレを阻止することの重要性を主張した考え方が受け入れられた形で、総裁は政策決定に賛成した。

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