スマート・トイレの米市場進出が本格化 〜 リクシルとトートーの販売攻勢
- 2014年5月29日
- ハイテク情報
トートー(TOTO)がかつて開発したビデ機能付きトイレ「ウォシュレット」はいやま日本の一般家庭に普及した。そして現在、日本の二大スマート・トイレ・メーカーは米国市場への進出を本格化させている。
日本では4分の3の家庭にスマート・トイレが設置されており、その市場をトートーとリクシル(Lixil)が二分している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、リクシルは、2013年に5億4200万ドルで買収した米アメリカン・スタンダード・ブランズ(American Standard Brands)を通じてスマート・トイレを米国市場で販促する計画だ。アメリカン・スタンダードはシャワーやトイレを製造販売する大手。
リクシルは、米国人が慣れ親しんでいる「アメリカン・スタンダード」というブランドを販路として、スマート・トイレの米国内普及を狙う。アメリカン・スタンダードはそれに向けて300万〜500万ドルを広告キャンペーンに費やす計画だ。
一方のトートーは、自社ブランドでの米市場開拓を狙う。同社は過去数年間に、米浴室関連品メーカーのコーラー(Kohler)と共同してウォシュレット普及に努めてきた。その結果、以前は、ハリウッドに代表される一部の裕福層だけに使われていたウォシュレットが一般世帯に少しずつ広まりつつある。
ウォシュレットの価格は、高位製品になると5000ドルにも達する。これは一般的トイレのおよそ10倍にあたる。トートーは米国内トイレ販売高を明らかにしていないが、米トイレ市場成長率の2倍で伸びていると説明。
一方、リクシル傘下のアメリカン・スタンダードは、スマート・トイレの年間売り上げを向こう3年以内に5000万ドルに激増させる計画だ。
トートーとリクシルが米国内で狙う市場は異なる。リクシルは、米配管サービス大手ファーガソン(Ferguson)と提携し、ファーガソンが米国各地で運営する展示室でスマート・トイレの見本品を紹介する作戦だ。リクシルはまた、水まわり製品メーカーの独グローエ(Grohe)を通じて欧州市場でも販売展開する計画だ。
それに対してトートーは、高級ホテルへの販促に注力している。たとえば、ニューヨーク市のキタノ・ホテルでは、全客室のトイレにウォシュレットを取り付け、宿泊客がその機能を体験することで消費者市場への浸透を狙う戦略だ。
トートーはまた、トイレが使う水の量を通常製品の3分の1である4リットルですむ節水型を売り込んでいる。
両社のほかにも日本では最近、パナソニックがスマート・トイレ市場で台頭しつつあり、トートーとリクシルにとって脅威的存在になるとみられる。ただ、米国ではいまのところ、パナソニックがトートーとリクシルに対抗する気配はない。
スマート・トイレが米国で普及するかどうかについては議論が分かれる。必需機能でもない機能がたくさんついたトイレに一般的価格の数倍から10倍もの金額を払う土壌が欧米にはないという見方は根強い。
しかし、その一方で、さまざまの電子機器が身近に氾濫する昨今、スマートフォン普及率が87%の米国では、たくさんのボタンが羅列したスマート・トイレ操作盤が逆に米国人を魅了するという楽観的見方もある。
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