「モノのインターネット」で覇権争い 〜 チップ大手にグーグルとアップルも
- 2014年7月10日
- ハイテク情報
すべての機器類をインターネットに接続または相互接続させるという概念の「モノのインターネット(Internet of Things=IoT)」をめぐって、標準規格の策定に関する各社の覇権争いが活発化している。
ニューヨーク・タイムズによると、インテル(Intel)は、モノのインターネット推進団体「オープン・インターコネクト企業連合(Open Interconnect Consortium)」を結成し、アトメル(Atmel)やブロードコム、デル、サムスン、ウィンド・リバーといった大手を味方につけている。
それらの企業は、インターネットに無線接続する機器に共通するオープン・ソース標準規格を確立させる考えだ。参加企業はまた、それぞれが持つ知的財産を無償提供し、開発に向けて自由に利用できるようにする。
一方、2013年12月には、クアルコム(Qualcomm)傘下のクアルコム・コネクティッド・エクスペリエンスが主導する「オールシーン同盟(AllSeen Alliance)」が設立されている。
オールシーン同盟には50社以上がすでに加盟しており、マイクロソフト(Microsoft)やシスコ(Cisco)もオールシーンに参加している。
そのほかにも、グーグル(Google)やアップル(Apple)も、モノのインターネットの標準規格を独自に開発していくとみられる。
たとえば、グーグルは先月の開発者会議において、アンドロイドOSを携帯機器以外に拡張していく意向を示し、モノのインターネットのプラットフォーム構築を狙う姿勢を暗示した。
かたやアップルでは、iOSにすでに組み込まれている無線接続技術「エアプレイ(AirPlay)」を、モノのインターネットに向けた機器類相互接続の規格に仕立てあげようとしていると指摘される。
そういった動きの背景には、モノのインターネットに期待される巨大な潜在市場の存在がある。すべての機器がインターネットに接続し、あるいは相互に無線接続するようになれば、携帯端末に加えて車や家電、機械類すべてが無線通信網でつながり、その市場規模は世界で2000億ドル以上に達すると試算される。
また、モノのインターネットによって集められる膨大な量のデータにアクセスできれば、その解析や分析によって新たな商機も生まれるという魅力もある。
モノのインターネットの規格については、「業界全体が一丸となって標準規格の確立をなぜ目指さないのか」という疑問も当然指摘されている。
それに対し、インテルのイマド・ソウソウ氏(オープン・ソース技術センター統括責任者)は、「(オールシーンが)モノのインターネットに関する技術を広範囲に普及させる努力を怠っている」と話す。
一方のオールシーン関係筋によると、クアルコムと競争するチップ・メーカーの多くは、オールシーンの活動を信頼していないためオールシーンに加わろうとしない。
オールシーンでもオープン・ソースを掲げ、クアルコムも我田引水のような規格確立を否定するものの、自社のチップ技術が規格の中核になれば巨額の利益を確保できるという見方も指摘される。
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