石炭火力発電の削減努力に壁〜米提唱も世界に波及せず

 オバマ大統領が1年前、国内で石炭火力発電所への依存度を低下させ、各国に「ドミノ効果」を及ぼすことを期待して提唱した温暖化対策が、行き詰まっている。

 ロイター通信によると、米政府は対策の要として、火力発電所の建設に対する公金の拠出をやめた。しかし、米国に追随して各国でも火力発電計画への財政支援が停止されるという目論見は外れ、海外の主要銀行で支援計画が継続されているばかりか、米輸出入銀行(EIB)でさえも支援の制限を棚上げした。

 日本は2013年、新興国における3件の石炭火力発電所建設への支援を承認し、温暖化対策の旗振り役であるドイツも支援を継続している。

 専門家によると、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)が設立する新開発銀行も、2年後の設立時に支援を制限する見込みは低い。

 財務省の元開発金融担当者で、現在は政策研究団体・地球開発センター(ワシントンDC)幹部のスコット・モリス氏は、「温暖化でもほかの問題でも、純粋であることは難しくなっている」と述べ、米政府が期待するような急速な変化は決して起こり得ないとの見方を示した。

 国内でも火力発電に依存する州の選出議員を中心に、EIBによる支援の制限を撤回するよう求める動きが広がり、9月までの凍結が決まったほか、インドのジャールカンド州における大規模な炭鉱計画に対する支援が検討されている。

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