崩れたら回復に1000年〜海の生態系で大学研究班

 温暖化で深海の酸素量が減り、海の生態系が崩れると、再生には1000年単位の時間がかかるという研究論文を、カリフォルニア大学(UC)デイビス校ボデガ海洋研究所が発表した。

 ロサンゼルス・タイムズによると、米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されの最新論文は、最後の退氷期が海洋生物に与えた影響がこれまで考えられていたよりはるかに厳しく、回復にも長い時間を要したことを例示している。

 研究では、サンタバーバラ・ベースンの海底から採取した30フィートの地層標本を使い、約1万3000年間に生息した生物の化石5000点以上を特定しながら、最後の大きな退氷期による気候変動が海洋生物に与えた影響を調べた。

 北米では1万4700年前の温暖化で氷河が溶けたが、この時に海中で酸素が急速に減少したため、ヒトデ、ウニ、二枚貝、巻貝といった酸素量に敏感な海底の無脊椎動物が約130年間でほぼ消滅した。その後、これらの生物群が復活し始めたのは海底の有機物を食べる生物が増えた約1万3500年前で、最終的にはヤンガー・ドリアス期の「寒の戻り」で完全回復した。

 しかし、約1万1700年前になるとその比較的短い寒冷期も突然終わり、再び170年以内にすべての海底後世動物が消滅。その後は4000年以上にわたって姿を表さなかった。

 これらの自然の気候変動には地球の公転が関係しており、酸素の減少は非常に急激だった。現在、世界の海では溶存酸素が減少している低酸素区域が確認されており、温暖化で海の温度が上がり海底に酸素を運ぶ仕組みが乱れると、こうした区域が拡大する可能性がある。

 今回の研究を主導したUCデイビスの海洋生態学者サラ・モフィット氏は「回復は100年単位では起こらず、1000年単位の時間がかかる。私の生きている間に深海で酸素が劇的に減少すれば、回復するのは数千年か早くても数百年先」と警告している。

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