東芝、破られない暗号化技術を開発中 〜 量子暗号システムの試験運用に着手
- 2015年6月23日
- ハイテク情報
東芝は、破られる可能性が非常に低い高度のインターネット向け暗号化システムを商品化する計画だ。
安全性の高い暗号化システムについてはこれまで、暗号化データを解読するのに1回限りの鍵をつくることが最善策だとみられてきた。しかし、目まぐるしく進化する昨今のサイバー世界では、産業スパイが高度化し、電子メール・サービス業者でさえ監視されることから、鍵の管理すら危険にさらされるという見方も強まっている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、東芝の量子暗号システム(quantum-cryptography system)に使われる鍵は、インターネットに接続しないカスタム・メイドの光ファイバー・ケーブル経由で光子の形態で提供される。
光分子の性質上、同ケーブルに対する傍受や盗聴行為があればデータ形式が変形することから、いかなるスパイ行為もかならず検知される。また、1回限りの鍵は、暗号化データと同じ大きさ(容量)であるため、同じパターンの再使用ができなくなり、正しい鍵なしでは解読することが不可能となる。
東芝は、その量子暗号システムの2年間の試験運用に着手する計画を進めている。光子は、再送なしで100キロメートルを移動できる。
2年間の試験運用が成功すれば、たとえば10年間や20年間という長期での商用利用の可能性が出てくる。
東芝はこれまで独自の研究と実験を重ねてきた。8月には最終段階の実験が始まる予定だ。同社は東北大学との協力により、量子暗号データの形式で一般的内容のデータを初めて第三者から転送する。
東芝は、企業や政府機関向けに同サービスを2020年までに提供したい考え。サービスのコストが下がれば、いずれは消費者にも提供する計画だ。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年7月16日 アメリカ発ニュース
米技術業界重鎮ら、トランプ氏の激励をあいついで表明 〜 暗殺未遂速報を受けて続々と投稿
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ