マイクロソフト(Microsoft)は、人気コンピュータ・ゲーム「マインクラフト(Minecraft)」の教材版となる「マインクラフト教育版(Minecraft Education Edition)」を学校に提供する計画を打ち出した。同社はそれによって教育用ソフトウェア市場への進出を本格化させる。
マインクラフトは、プレイヤーがブロックやレンガのデジタル建材を使って建造物や街を構築していく人気ゲーム。建造物に制限はなく、タジマハールから都市まで無限にある空間を利用して建造できる。また、ゲーム内の携帯電話機に動画を転送することも可能だ。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マイクロソフトは、小学校から大学までの教育現場関係者向けにマインクラフト教育版を供給し、その使用料として、利用生徒一人あたり年間5ドルを課金する計画だ。大型校に対しては別の課金制度が検討される。
マインクラフト教育版では、教師がゲームをカスタマイズできるほか、生徒の進捗状況を追跡できる。生徒は、学校から発行されるマインクラフト用IDを使って自分の口座を開け、建造物の写真やデータをほかの利用者と共有できる。
マインクラフトは、モジャング(Mojang)ABが開発したゲームで、2009年に発売されて以来7000万本がパソコンやスマートフォン、ゲーム専用機にダウンロードされた。マイクロソフトは2014年に同社を25億ドルで買収した。
また、ニューヨーク市の教員だったジョエル・レヴィン氏がティーチングゲーミング(TeachingGaming)という新興企業を2011年に設立し、マインクラフトの教育版「マインクラフトEdu」を販売していた。マイクロソフトは2015年10月にティーチングゲーミングも買収している。
マインクラフトが教育現場でどれほど普及するのかいまのところ不透明だが、潜在的市場規模は十分に大きい。全米教育統計センター(National Center for Education Statistics)によると、2016年に米国の公立学校(幼稚園から高校)の生徒数は5020万人と予想される。私学の生徒数は約490万人だ。
一方、ソフトウェアおよび情報産業界協会(Software & Information Industry Association)によると、米国で幼稚園から高校まで教室で使われた教育ソフトウェアやデジタル教材への支出は、2014年に前年比5.1%増の83.3億ドルに達した。
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