在宅勤務、出勤社員にも影響 〜 交流なくオフィスで孤独感

 在宅勤務制度を導入する企業は、自宅で働く社員だけでなく、オフィスに残った社員への影響も考える必要がある。

 ニューヨーク・タイムズによると、在宅勤務は社員にとって▽家族と過ごす時間が増える▽長い通勤を回避できる▽1日の行動を管理しやすくなる…といった利点があり、会社にとっても▽必要なオフィススペースが減って不動産コストを削減できる▽遠隔地に住む有能な人材を雇える…といった利点がある。会社側の懸念としては、これまでは▽オフィス勤務と同程度の生産性を維持できるか▽何らかの監視が必要か…といった点が中心だった。

 しかし、経営専門誌The Academy of Management Discoveriesに掲載されたジョージ・メイソン大学(バージニア州)のケビン・ロックマン准教授(経営学)とボストン・カレッジ(マサチューセッツ州)のマイケル・プラット教授(同)による共同研究では、オフィスに残った社員の問題に目を向けるべきだという結果が示された。

 調査は在宅勤務を認めるシリコンバレーのフォーチュン100企業を対象に行われ、オフィス勤務を選んだ社員が孤独感や分離感を抱いていることが分かった。オフィス勤務者の多くは社会的な交流を求めて職場に来ているが、他人と一緒に取る昼食、廊下での自発的な交流、オフィスでの会話など、その人にとって活力が得られる場を失っている。

 また、自宅勤務という決断は伝染し、本当に柔軟性が必要な人以外にも広がっており、「皆がそうしているから」という理由で在宅勤務を始める人が増えたためにオフィスは以前にも増して人気のない場所になっているという。

 電子メール、インスタント・メッセージ、スカイプといった通信技術によって同僚間のつながりは保たれているとはいえ、人は言葉以外の行動から多くを感じ取ることができるといった理由から、信頼関係を構築し強化する上で対面交流に勝るものはないと、ロックマン教授は指摘する。

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