米国進出の“盲点”浮き彫りに 実務負担が事業継続を左右

アメリカ市場に特化し、日本企業の海外展開を実務面から支援するオンラインサービス「Emily. アシスタント」を提供するCOEL, Inc.は米国事業に携わる日本企業の経営者・役員・事業責任者111名を対象に実施した「米国進出実態調査」の結果を発表した。

今回実施した経営者・役員・事業責任者111名を対象の「米国進出実態調査」によると、約6割の企業が「撤退・縮小・計画変更」を検討していることが明らかになった。その最大の理由は、市場環境の変化ではなく、社内の実務負担にあるという。米国で事業を展開する日本企業にとって、成長機会の大きさと同時に、見過ごされがちな課題が浮き彫りとなった。

外部環境よりも重い「社内オペレーション」の壁

調査では、撤退や事業見直しを検討する最大要因として「バックオフィス・法規制対応などの実務負担の増大」が60.4%を占め、「外部環境の変化(12.6%)」を大きく上回った。これは、米国市場の競争や景気動向以上に、日々のオペレーション体制が事業継続のボトルネックとなっている現実を示している。

特に、ビザ対応や各種法規制への対応など、米国特有の制度への適応は負担が大きく、想定以上のリソースを要した課題として「人的リソースの確保・維持(48.6%)」が最も多く挙げられた。単なる人材不足ではなく、制度対応に精通した人材の確保が難しい点が背景にあるとみられる。

本業を圧迫する“付随業務”の増大

さらに注目すべきは、業務時間の配分だ。約8割の企業が、バックオフィスや規制対応といった付随的業務に全体の10%以上を費やしており、2割以上は30%を超える時間を割いているという。これにより、本来注力すべき営業活動や交渉業務(55.0%)といった成長ドライバーが圧迫されている実態が浮かび上がった。

成否を分けるのは「実務運営体制」

日本企業にとって米国進出は依然として重要な成長戦略の柱である一方、その成否を左右するのは市場環境や競合状況だけではない。むしろ、現地での実務運営体制、すなわちバックオフィス機能や法規制対応力が、事業の持続性を決定づける要因となっている。

これまで語られることの少なかった“実務負担”の実態に光を当てた本調査は、米国市場での成功を目指す企業にとって重要な示唆を含む内容といえる。今後は、現地オペレーションの最適化や外部リソースの活用を含めた体制構築が、競争力の鍵となりそうだ。

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