地上波テレビ用の周波数帯域を無線通信用に再分配する競売が米国で始まった。
地上波テレビ放送のデジタル化とともにテレビ用周波数帯域が以前ほど必要でなくなったこと、これまでテレビ中心だった娯楽を携帯端末で楽しむ人口が増え、無線通信用の帯域拡大が急務となったことがその背景にある。
米通信委員会(FCC)は、周波数帯域の一部を競売用に放棄したテレビ放送事業者に対し、無線通信サービス会社(キャリヤー)から徴収する落札額の一部を報奨金として提供する。
PCワールドによると、競売されるテレビ放送用周波数は600メガヘルツで、無線通信用の帯域幅よりも低いことから、それを無線通信に転用した場合、通信可能領域が広がり、建造物が通信の障害になることも現在より減る見通しだ。
また、テレビ用周波数帯域を利用する新たな無線通信網は、特に地方での通信サービス向上に寄与し、さらに通信可能領域が拡大する結果、消費者のキャリヤー選択肢も増える可能性がある、とレコン・アナリティクス(Recon Analytics)のロジャー・エントナー氏は指摘する。
エントナー氏によると、競売はモノのインターネット(IoT=Internet of Things)業界にとっても朗報だ。トラックやスマート・メーターといったIoT用接続機器は通信網の末端部分に設置されることが多く、通信可能領域拡大の恩恵を受けると予想される。
スプリント(Sprint)を除く米4大キャリヤーのAT&Tとベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)、Tモバイル(T-Mobile)の3社は競売への参加を表明している。
一方、FCCは競売に先立って、放送事業者を対象に、いわゆる逆競売(リバース・オークション)を実施する。周波数帯域放棄を決めたテレビ局が、所有する周波数帯域の価格を提示するというもの。逆競売参加申し込みは3月29日に締め切られた。
キャリヤーによる入札は6月に開始され、落札者が決まるまで続けられる。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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