暮らしの隅々にレイオフの打撃〜ほぼ全世帯で何らかの影響

 米国では過去数年間、ほとんどの家庭が何らかの形でレイオフ(解雇)の影響を受けているという調査結果を、ラトガース大学ジョン・J・ヘルドリッチ労働力センターが発表した。

 ニューヨーク・タイムズによると、全米失業率は約8%で推移しているが、1月に国内の成人1090人を対象に実施した同センターの調査では、ほぼ25%が最近のリセッション期(2007年12月〜09年6月)またはそれ以降に解雇された経験があり、ほぼ80%が「家族や友人に失業した人がいる」と答えた。

 報告書作成者の1人、クリフ・ズキン氏は「5人中4人までが直接または身近に失業を経験しており、これによる経済的、社会的、心理的な影響を受けている」と指摘した。

 回答者の過半数は「経済の完全回復にはさらに6年以上かかる」、30%は「グレート・リセッションから経済が完全に回復することはない」と考えており、「14年に経済が改善する」とみる人はわずか3分の1で2年前から変わっていない。

 近年レイオフされた人のうち、約4分の1はまだ次の仕事が見つかっておらず、特に55歳以上のグループでは「仕事が見つかるまで1年以上職探しをした、もしくはまだ見つかっていない」という人が約3分の2を占めた。就職活動中の失業者の31%は失業保険が切れており、58%は「職が見つかる前に失業保険が切れるので

はないか不安」と答えた。

 職が見つかった人も、約半数は「以前の仕事より劣る」、過半数は「前より給料が安い」と答え、4分の1が「生活水準への影響は永続的」と考えている。

 一方、失業時には福祉制度より個人的な人脈や貯蓄に頼る人が多く、フードスタンプ(食料配給券)を使うよりは家族や友人から金を借りるという人が多かった。失業者の3分の1は医療機関への訪問や治療の回数を減らし、4分の1は職業訓練プログラムに参加していた。半数は自費または家族の支援でこうした教育を受けており、政府の支援を受けているのは23%だった。

 「失業者を助けるのは主に政府の責任」と考える人は就業者より失業者に多い傾向があるものの、失業者の大半は「人々を再就職させる責任は政府よりも労働者や雇用主にある」と考えている。「失業率が高いのは金融業界のせい」と答えた人は35%で10年の45%から減少し、「不法滞在者が米国人の働くチャンスを奪っている」と考える人は40%だった。

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