法人向けクレジット・カード市場を長らく独占してきたアメリカン・エクスプレス (American Express、アメックス)に技術系新興企業らが挑んでいる。なかでも、2017年創業のブレックス(Brex)の台頭が著しい。ピッチブック(PitchBook)によると、ブレックスの時価総額は2019年に26億ドルに達しており、同社に対するベンチャー・キャピタリストらの関心の高さがうかがえる。
フォーチュン誌によると、サンフランシスコ拠点のブレックスは、新興企業向けのクレジット・カード・サービスを専門とする。信用履歴の乏しい新興企業は一般に、従来の法人向けクレジット・カードを取得することが難しい。ブレックスは、信用履歴の代わりに顧客会社(新興企業)の銀行口座を追跡し、日々の残高によって企業の支払い能力を審査する。
ブレックスは、新興企業向けのクレジット・カード・サービスというニッチ市場に照準しているものの、同社の共同創設者エンリケ・デュブグラス氏(24歳)は、アメックスとの直接対決を視野に入れている。
現在、ブレックスの顧客の大半は新興企業だが、同社は電子商取引や生命科学といった分野の非新興企業市場にくい込もうとしている。同社はさらに、事業多様化策として、飲食サービス事業を立ち上げる計画も進めている。
同社は、これまでに約3億1700万ドルのベンチャー・キャピタル投資を調達し、それ以上の借入資本を持つ。飲食サービス市場への参入決定については市場関係者から疑問の声も上がったが、デュブグラス氏は、アメックスも空港でラウンジを運営していると述べ、そういった批判をかわしている。
ブレックスと競合するニューヨーク拠点の創業1年のランプ(Ramp)は、約2500万ドルを最近に調達した。ランプは、法人用クレジット・カードの提供に加え、付加サービスとして、経費節減を支援するために顧客のクレジット・カード支払いデータを活用して、たとえば、不要のソフトウェア契約といった顧客会社の「無駄」を見つける。
かたや、ユタ州のディヴィー(Divvy)は、2019年4月に2億ドルを調達し、また、数百万ドルの借入資本も確保した。ディヴィーは、法人用クレジット・カードのほかに経費管理ツールを提供する。
新興企業らの攻勢に対しアメックスは、新興企業向けの新しいカード・サービスを2019年10月に投入した。アメックスはまた、ブレックスと同じように、与信審査の一環として企業の銀行口座残高を確認するための新技術を活用し始めたほか、小規模の取り引き先への支払いを自動化する新システム導入にも着手している。
【fortune.com/2020/03/08/new-tech-startups-want-to-remake-the-corporate-card/】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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