米国では企業の商品やサービスに問題を感じる人が過去最高水準に増えており、企業への「復讐」に乗り出す人も増えていることが、カスタマーケア・メジャーメント&コンサルティング(CCMC、バージニア州)の最新調査で分かった。
■74%が問題感じる
ウォールストリート・ジャーナルによると、CCMCの調査「National CustomerRage(全米客の怒り調査)」は消費者1000人を対象に行われ、その74%が過去1年間に商品またはサービスに問題を感じたと答えた。この数字は前回調査(2020年)の66%、前々回(17年)の56%を上回る。1976年に初めて実施された同種の調査では、問題を感じたという答えは32%だった。
対面もしくはオンラインで、問題と感じた企業を辱める行動を実際に起こした人の割合は、20年の3%に対して今回は9%と、3倍に跳ね上がった。
コンサルティング会社フォレスターが22年に実施した調査でも、同年4月までの1年間に消費者向けブランドや政府機関から提供された顧客経験の質が低下したという結果が出ている。同調査は米消費者9万6211人を対象に、221の組織に対する認識を尋ねた。
また、47業界の400社以上に関する全体の顧客満足度を0~100点で評価する米国顧客満足度指数(ACSI)は、18年の77から22年には73.1に低下し、その下げ幅は28年前に評価が始まって以来最大となった。最新調査では、消費者向け配送、運動靴、ソフトドリンク、病院、オンライン小売りなどの業界では顧客満足度が上昇した一方、ファストフード、ホテル、ガソリンスタンドでは低下した。
■有料テレビは低評価
CCMC調査では、消費者の不満度が高まると、苦情がより頻繁かつ攻撃的になることも分かっている。23年調査では、顧客の79%が企業の最も深刻な間違いに関して苦情を申し立てており、20年の72%から増えた。また、43%は、最も深刻な間違いへの不服を表すため顧客対応係に対して大声を出したと回答した。これも17年の35%から増加した(20年調査はこの項目なし)。
消費者は、業種によっては企業の対応がほかの業種よりも良いと考えており、比較的良い業界としては食品の配達、荷物の配達、銀行を挙げた。悪い業界としては有料テレビ、航空会社、自動車などが挙がった。
■AIの電話応対は逆効果
一部の企業は航空会社やクレジットカード会社に倣って、有料会員、最も高価な買い物をする客、社のブランドへの愛着が強い顧客に対する特典として迅速なサービスの提供を開始している。
同時により多くの企業が、標準的なカスタマーサービスにおけるコスト削減や人員不足の補てんを目的にサービスの自動化に乗り出している。基本的な対応が可能な人工知能(AI)やその他の技術が操作する電話やオンラインチャットに顧客を任せ、より複雑な問い合わせだけを人間のスタッフに担当させる企業が増えた。
しかしCCMC調査では、その方法だと顧客はより怒りを感じやすいことが判明している。回答者は、カスタマーサービスにおける不満の最大の原因として「スタッフと話せるようになるまで長い録音メッセージを聞かされること」「企業のどの部門にどうやって連絡したらいいか見つけ出すこと」を挙げた。これは「企業が電話番号を隠しているように感じる」という経験につながる。
さらにCCMC調査では、回答者の25%は問題が発生した理由の説明を期待しており、24%は謝罪を求めており、23%は問題の再発防止を明言してほしいと望んでいることも分かった。しかし、問題に対して企業がその理由を説明したという割合は9%、謝罪した割合は18%、再発防止を明言した割合は9%にとどまっている。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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