SAP、ハナ生態系の構築を本格化 〜世界各地で新興企業の取り込みに

 業務用ソフトウェア大手の独SAPは、インメモリー・データベース製品「ハナ(HANA)」の普及を目指し、世界の起業家と新興企業向けにハナ技術基盤の製品開発を支援する活動に力を入れている。

 コンピュータワールドによると、SAPはハナの新興企業向け製品説明会を各地で開催し、ハナ技術基盤の製品開発に関心を持つ企業の参加を促し、生態系構築のための開発者コミュニティー網の形成を図っている。

 ハナ関連製品開発を決めた開発企業は、SAPが提供する開発支援プログラムに参加し、SAPの指導の下で概念製品から試作品の製作を経て新製品を開発する。商品が発売に値すると判断された場合、SAPは商品再販業者として新興企業の商品販売と販促を支援する。

 同プログラムへの参加は無料で、新興企業に対しSAPが成果物の知的所有権(IP)を求めることはない。

 ただ、ハナ利用製品の販売をいったん始めた企業は、SAP製データベースの組み込みライセンス(embedded license)を購入する必要がある。

 SAPはこれまで新興企業向けハナの説明会を12ヵ国で約15回開催した。現在、すでに100社以上が同プログラムに参加しており、22の業界向けに製品開発計画が進められている。

 SAPによると、開発計画のうち約60%は、SAPが従来得意としてきた分野以外のもの。また、約26%がデータ視覚化やビジネス・インテリジェンス(BI)、そして市場動向分析洞察に関するもので、そのほかの17%はソーシャル・メディアやオンライン協業、ゲームに重点を置いている。

 同プログラムに参加する新興企業の一つででデータ視覚化技術開発のクンブ(Qunb)は過去に、既存製品のアーキテクチャーにハドゥープ(Hadoop)クラスターを活用した製品開発を目指したが、顧客関係管理(CRM)システムほかの企業データの操作には理想的でないと判断し、ハナとそのほかの技術のハイブリッド型アーキテクチャーを開発している。

 SAPは、5月に主催する業界会議でハナ・プログラム参加企業を大々的に紹介する予定だ。

 SAPによると、ハナは2012年に約5億2100万ドルを売り上げ、同社史上最も成長が速いヒット製品となっている。高額ではあるが、採用顧客企業からの評判は非常に高いと言われる。

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