米国からの自動車輸出が拡大〜米工場の国際競争力上昇で
- 2013年8月13日
- 自動車関連
米国内の自動車工場が、4年前の経営再建による人件費の削減や赤字工場の閉鎖で国際的な競争力を高めており、メーカーは米国から海外に向けた輸出を拡大している。
ウォールストリート・ジャーナルによると、商務省国際貿易局(ITA)のまとめでは、2012年に米工場で生産され輸出された車は100万台超と過去最高を記録し、03年から3倍に増加した。今のところ、米国への輸入の方が輸出より多く、12年の米自動車貿易赤字は1055ドルで、輸出は輸出(510億ドル)の2倍に上っているが、米貿易赤字全体に占める割合は、1987年の22%から14.5%に縮小している。
国内には自動車工場が全社合わせて44カ所あり、そのうち大型工場3〜4カ所分の生産量が海外に出荷されている。主な輸出先は、世界最大の自動車市場である中国のほか、サウジアラビア、韓国など。近年は特に、かつて日本製自動車の最大輸入業者だったホンダが輸出を促進しており、米工場の拡張やドル安を強みに、14年末までには北米輸出量を日本からの輸入量以上に増やし、12年の9万台から最終的には20万台以上に引き上げる意向だ。
GMやフォードは、早くから外国に進出し欧州などに工場を持っていたため、これまでは米国から輸出する必要をあまり感じていなかったが、赤字工場の閉鎖につながった4年前のGM、クライスラーの経営破綻とドル安の間接的結果として、米国製自動車の輸出が増えている。破綻した2社は経営再建によって多くの労働者を熟練労働者のほぼ半額(時給14ドル)で雇えるようになり、政府支援を受けずに再建を果たしたフォードも、ほぼ同じ条件を労組から取り付けた。
こうして無駄を削ぎ落とした米業界は、11年は労働者の給与・諸手当コストが1時間当たり平均38ドルと、ドイツの60ドルよりはるかに少なくなった。日本は37ドルだが、07年以降の上昇額は米国がわずか3ドルなのに対し、ドイツは14ドル、日本は12ドルとなっている。このため、ドイツや日本の自動車メーカーは米工場からの輸出に力を入れており、BMWは12年にサウスカロライナで生産した30万15125台のうち約70%を、メルセデスベンツもアラバマ工場で生産した18万台のうち約70%を輸出、トヨタの米国からの輸出も前年の8万6000台から12万4000台に増えている。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる