ソニー、スマートアイグラスの試作品を公開 〜 開発者の関心獲得を狙う

 ソニーは、サンフランシスコ郊外で開かれたウェアラブルズ・デヴコン(Wearables DevCon)会議(身体装着型端末開発者向け会議)で、スマートアイグラス(SmartEyeglass)の試作品を発表した。

 グーグル(Google)のグーグル・グラスに関する報道が世間や開発者の関心を引きつけていることから、ソニーとしては、グーグル・グラスにこれ以上の遅れを取らないよう、スマートアイグラスの存在感を訴求するとともに、生態系確立の地盤強化に注力している。

 グーグルでは、グーグル・グラスの最終製品化に向けて、一般のなかから選んだ多くの消費者にグーグル・グラスを無料配布して試用してもらい、感想や意見を集めて課題の特定と改良を進め、発売準備の最終段階にある。

 その過程で、グーグル・グラスに関するさまざまな報道が連日のように伝えられ、発売されていない製品としては過去に例がないほど報じられている。それと同時に、開発者にプラットフォームを公開してアプリケーション開発を奨励しており、つい先日にも、安全や医療に関する新たな用途を可能にする試作アプリケーションも報じられたばかり。

 また、近年の技術製品業界では、機器そのものの機能は重視されず、ソフトウェア設計とアプリケーションによる機能性および拡張性がほぼ唯一の競争要因とみなされるようになり、アプリケーション開発業者を味方につけた生態系の力が勝敗を分けるようになった。

 そういった市場動向は、日本の家電メーカーによる従来路線とは真逆の方向であり、ハードウェア至上主義で成長してきた日本企業にとっては不得意な分野でもある。そのため、一部の業界専門家らはそれを理由に、日本の消費者電子製品業界の将来性を悲観視している。

 スマートアイグラスは、グーグル・グラスと同様に利用者の眼前に情報を表示するが、小さなプリズム・ディスプレイを使うグーグル・グラスとは違って、より一般的な透明レンズに緑色で情報を表示する。

 動画で紹介された実演では、空港に到着したスマートアイグラス利用者が、搭乗手続き窓口への行き方をレンズに表示し、また、スポーツ試合の観戦中に点数や選手情報をレンズに表示した。テキスト・メッセージの送受信や、着信電話の通知も可能。

 スマートアイグラスは初期段階の試作品であり、グーグル・グラスほど進んでいない。実演でも、各種の操作は、有線でつながれた別の操作器によって実行された。アプリケーションがスマートアイグラス単独で稼働するわけではなく、アンドロイド・スマートフォン上で作動するアプリケーションをブルートゥースかワイファイ経由でスマートアイグラスに反映させる段階だ。

 ソニーは、スマートアイグラス向けアプリケーション開発を奨励するために、開発業者に公開するソフトウェア開発キット(SDK)を作成中。SDKは、同社のスマートウォッチ2と同じ枠組みを土台にしたものになる。SDKの発表時期はまだ決まっていない。

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