注目のネット小売店、年会費廃止〜Jet.com、アマゾンと戦えるか

 注目されている新しい格安販売サイトのジェット・コム(Jet.com)は7日、経営の柱の1つだった50ドルの年会費を廃止すると発表し、今後の見通しに懸念が生じている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ジェットはアマゾンに対抗できる可能性があると有望視されたサイトで、今年7月の営業開始以前にゴールドマン・サックス・グループやアルファベット傘下グーグル・ベンチャーズといった投資会社から2億2500万ドルの資金を調達しており、2020年までの黒字転換を目指している。

 しかし、会費収入がなければ、大規模な広告キャンペーンを展開しつつアマゾンの低価格に対抗することは一層難しくなる。ダイアパーズ・コムを設立しアマゾンに売却した実績もあるジェット創設者のマーク・ロア氏は「販売業者は会費のないサイトを好むことが分かり、それが投資家、消費者、小売業者にとってよりよい方法だ」と説明。一方で「アマゾンより15%安い」とうたってきた低価格は、今後4〜5%安い程度にとどめるという。

 同社はこれまでも3〜12カ月間の無料お試し期間を提供してきたため、50ドルの会費を払った会員は非常に少ない。また、バス、地下鉄のポスター、タクシーなどで割引クーポン・コードを提示するなど大規模な販売促進策も展開しており、営業開始後12カ月間のマーケティング費用は1億ドルと予想されている。

 集客のためには低価格が必要だが、そうすると商品を値引きしたくない業者は取引を嫌がり品数が限定されるという課題もある。ブーメラン・コマースによる9月の調査では、アマゾンがベストセラーとして挙げている16部門の商品約1600品目のうち、ジェットが販売しているのはわずか31%だったが、そのうちの73%はアマゾンより安かった。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る