「トランプ発言は事実と相違」〜フォードCEOが反論

 フォードの経営トップが、共和党の大統領候補争いで勢いを見せるドナルド・トランプ氏の発言に異議を唱え、選挙戦での冷静な議論を促した。

 AP通信によると、トランプ氏は先週末「私の変わらぬ主張によってフォードはメキシコでの工場建設計画を中止し、米国に残る決定をした」というツイートを発信した。これに対してフォードのマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)は27日、第3四半期決算の電話会見の際に、トランプ氏と話をしたことも最近になって製造に関する計画を変更した事実もないと言明した。

 さらにフィールズCEOは、トランプ氏が話題にしたと考えられる大型トラック生産のメキシコからオハイオ州への移転について、2011年に下された決定だと指摘した。オハイオ工場での生産は今年8月に始まった。フィールズ氏は「事実は頑強なもので、フォードはそういう事実を誇りに思う」「残念ながら政治の世界では事実が失われつつある」とも付け加え、虚実入り交じる選挙戦の論争を皮肉った。

 トランプ氏はたびたび、米自動車メーカーに国内雇用を維持させるため「大統領になったらメキシコ製の車や自動車部品に35%課税する」と語っている。

 共和党の大統領候補としてトランプ氏と争っているオハイオのジョン・ケイシック州知事も27日、「私たちは11年にこの契約に合意した。理由は私たちがオハイオでなすべきことを知っているからで、われわれは収支の帳尻を合わせ、雇用を増やし、労働者を訓練する要領が分かっている。わずか数年前と今を比べてもそれは明白だ」とトランプ氏をけん制し、自己の業績を強調しつつフィールズ氏の発言を裏付けた。

 トランプ氏の広報担当者は「(トランプ氏は)彼が頻繁に論じている雇用問題の重要性を強調するためにフォードの例を挙げただけ」と説明した。

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