国際輸送業界は合意先送り〜気候変動対策

 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)はこのほど、2020年からの実施を目指す地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」を採択した。196の国と地域が温室効果ガス(GHG)の削減や温暖化抑制などの目標を定めたわけだが、取り組みの内容は国ごとに違うため、貨物を運ぶ船や飛行機の国際輸送業界は対象から外れている。業界独自の目標合意は来年以降に持ち越されることになった。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、海運業界の主要な規制機関である国際海事機関(IMO、本部ロンドン)は、「海運会社も炭素排出量を削減するが、公式目標の設定には至らなかった」と説明した。しかし業界内では、共通の国際基準がない国別の規制では効果が不十分との声も上がっている。

 海運最大手APモラー・マースク(デンマーク)のジョン・バング気候変動アドバイザーは「当社は世界的な解決策を求める国際産業で営業している。最も避けたいのは規制が地域ごとに違うという事態であり、そうなると船を簡単に移動させられるこの商売では均一の効果が期待できない」と指摘する。「パリ協定は評価するが、当社としては最終案で国際輸送業界に問題への対処を強く迫らなかったことに落胆している」

 バング氏は、気候変動問題への対応に適した機関はIMOだと見ているが、COP21の協議では先進国と新興国の主張が対立して身動きが取れなかった。IMOは妥協策として新造船に対する燃費基準や排ガス測定基準を設定するにとどまり、関水康司(せきみず・こうじ)事務局長は「国際貿易に関わる船からの排ガス問題への取り組みを今後も続ける」と述べた。

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