アマゾン、元物流担当を提訴 〜 現ターゲット、知識流出を懸念

 オンライン小売り最大手アマゾンは、小売り大手ターゲットに移籍した元物流担当幹部を提訴した。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、企業間の人材の移動はよくあることだが、アマゾンはこの元幹部が「退社後18カ月間は同業他社で同様の職に就かない」という契約に違反したと主張している。元幹部はアーサー・バルデス氏。16年間アマゾンに在籍して100万ドル以上の年収を得ていたが、この3月、サプライチェーン&物流担当最高責任者としてターゲットに引き抜かれた。

 物流や貨物輸送分野では近年、社員の移籍をめぐる訴訟が増えている。2012年にはC・H・ロビンソン・ワールドワイドがXPOロジスティクスを提訴。まだその決着も付かない15年2月、XPOロジスティクスが同業のYRCワールドワイドとR+Lキャリヤーズを訴えている。

 訴訟の当事者となった個人はいずれも、移籍先で働き始めている。こうした訴訟の増加は、倉庫のデザイン、在庫管理、配送、データの取り扱いなどサプライチェーンを無駄なく管理するための「物流ノウハウ」が、企業の競争力強化にますます重要になっていることを示している。特に、利益率を犠牲にして市場シェアの拡大を図っているアマゾンのような企業は、高度に自動化された発送センターや輸送業者網の拡大で迅速な配達を提供して顧客を獲得してきた。

 XPOは、複数の荷主の貨物を統合して配送するレス・ザン・トラックロード(LTL)業者で、全米にトラック網を持ち、フェデックスなどと競合している。ヘッドハンティング会社ラッセル・レイノルズ・アソシエイツのピーター・オブライエン国際供給網担当者は「この分野はあまりに動きが速すぎて、現時点ではリーダーと言える人材が少ないため、物流や販売担当者の価値が非常に高い」と指摘する。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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