ドイツの複合企業シーメンスは、金属積層造形法(3D印刷)で作った発電用ガスタービン・ブレード(羽根)の性能試験を行い、合格したと発表した。
ロイター通信によると、ブレード製作には2016年に買収した英マテリアルズ・ソリューションズの技術が使われ、試験はセ氏1250度以上の環境下でエンジンを毎分1万3000回転させる全負荷運転で行われた。3D印刷のブレードでこの試験を実施したのは世界初という。
同社パワー&ガス部門のウィリ・マイズナー責任者は、試験結果について「積層造形法の応用が最も難しい分野の1つといわれる発電分野における画期的成功」と話している。3D印刷のタービン・ブレードが商業生産できる時期は不明だが、従来は2年かかっていた設計から試験までの時間がこの技術によってから2カ月に短縮された(同社広報)。ブレードの原料は粉状の多結晶ニッケル超合金で、内部に冷却構造を持たせた新しいデザインも3D技術で可能になったという。
近年、火力発電用タービンは厳しい値下げ圧力にさらされており、シーメンスは最近「新規の建設事業は先送りされており、受注に向けて努力しなくてはならない」と表明していた。
米同業のゼネラル・エレクトリック(GE)も、16年に10億ドル超を費やして2つの3D印刷企業を買収し、航空機エンジンの部品製造に3D印刷技術を使っている。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる
-
アマゾンや小売大手ら、頻発する返金詐欺で巨額の損害 〜 詐欺集団ら、ティックトックで協力購入者たちを募集