高い人件費と低い失業率、そして住居や事務所の家賃高騰を受け、シリコン・バレー以外の地域に人材や事務所を求める企業が増えている。ベンチャービート誌によると、商業不動産サービス大手のJLLでは、技術人材が豊富で運営コストもシリコン・バレーほど高くない技術生態系を持つ米5都市を特定した。
▽「隠れた秘宝都市」
JLLは、調査報告書「最難関コードを解読する:技術系人材をどこで見つけるか(Cracking the Hardest Code: Where to Find Tech Talent)」のなかで、技術新興企業を立ち上げて運営するのに適したシリコン・バレー以外の5都市を「隠れた秘宝都市」として選定した。
シアトルやボストン、ワシントンDC、オースティン、デンバーといったこれまで注目されてきた技術会社集積都市は、その5都市には入らなかった。人件費と家賃がすでに高騰したためだ。
「隠れた秘宝都市」は次の5つ。かっこ内は、その都市に多い技術人材の技術職分野。
1.アルバニー(コンピュータ・プログラマー)
ニューヨーク州都のアルバニーは、レンセラー工科大学やニューヨーク州立工科大学から支援を得て、「テック・バレー(Tech Valley)」の形成に早くから取り組んできた。
フォーチュン500社のいくつかがアルバニーに進出していることも手伝って、アルバニー都市圏には、5880人のコンピュータ・プログラマー(平均年俸は7万6000ドル)がおり、全米2位のプログラマー職集積地域となっている。
2.コロラド・スプリングス(ソフトウェア開発者)
自然に恵まれ生活の質が高いことで知られるコロラド州コロラド・スプリングスには、近隣のボウルダーと同じ約6000人のソフトウェア開発者がいる。平均年俸はボウルダーと同等だが、事務所家賃は約半分と安いことから運営コストを抑えられるという利点がある。
コロラド大学コロラド・スプリングス校があり、軍関係の経済活動にも支えられた同市には、マイクロチップ・テクノロジー(Microchip Technology)やノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)、ロッキード・マーティン(Lockheed Martin)といった世界的大手が進出している。
3.コロンバス(コンピュータ・プログラマー)
オハイオ州コロンバスには、サクラメントやオースティンに匹敵する1万1000人超のコンピュータ・プログラマーがいる。それらの都市より給与も家賃も安いことから、会社にとっては固定支出の観点から経済性がよい。
コロンバスにはソフトウェア開発者も多い。全米10大都市には入らないが、その数は1万3700人を数える。
コロンバスにはオハイオ州立大学があり、PNCファイナンシャル(PNC Financial)やネイションワイド・インシュアランス(Nationwide Insurance)といった大企業が本社を置いている。
コロンバスは最近、米運輸省主催のスマート都市大会で優勝しており、技術力と革新力を証明した。
4.マディソン(ソフトウェア開発者)
ウィスコンシン州マディソンの技術生態系は、ウィスコンシン大学マディソン校や、次世代技術の開発に注力する非営利団体のセクター67(Sector67)といった大型大学や組織のほか、製造業界によって支えられている。
ソフトウェア開発者の数自体は9000人をわずかに下回る程度だが、土地の広さに対する技術職の集積度は全米で10番目に高い。さらに、技術職の平均年俸は、全米最高のシリコン・バレーよりも40%も安い。
5.サクラメント(コンピュータ・プログラマー)
サンフランシスコ湾岸地域における人口集中の余波を受け、サクラメントは住宅購入者ならびに生活費を抑えたい人材とって魅力的な選択肢となっている。
サクラメントには1万1000人を超えるコンピュータ・プログラマーが住んでおり、技術職の平均年俸は、湾岸地域より21%低い8万4000ドルと手ごろだ。
【https://venturebeat.com/2017/07/07/5-places-companies-are-finding-tech-talent-outside-silicon-valley/?google_editors_picks=true】(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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