旅行情報サイト大手トリップアドバイザーは、過去に性的暴行などの事件が起きたホテルやリゾート施設について、表示内容に警告の添付を始めた。
ニューヨーク・タイムズによると、警告はニュース報道やトリップアドバイザー利用者からの投稿を基に、あらゆる旅行における健康、安全、差別などの問題を知らせるために作られた。過去に問題のあったホテルをクリックすると上部に赤字のバナー警告が表れる仕組みで、最長3カ月間掲示を続けるが、問題が継続すればその期間を延ばす可能性もある。
懲罰的な意味合いはなく、消費者からの情報提供が目的。警告をつけるか削除するかは社員で構成する委員会が決める。ただ、苦情が何件あってもホテルの情報自体がサイトから削除されることはなく、利用者からの投稿(リビュー)も掲示し続ける。
メキシコのプラヤ・デル・カルメン地区のホテル情報を見ると、ユーザー投票で2位にランクされている「グランド・ベラズ・リビエラ・マヤ」、4位の「イベロスター・パライソ・マヤ」、5位の「イベロスター・パライソ・リンド」の3施設に警告がついており、それぞれ数千件のリビューが掲示されている。
トリップアドバイザーは、ダラスの女性(35)が2010年にフォーラムに掲示した「パライソ・マヤで警備員に性的暴行を受けた」という投稿が削除され続けているという地方紙ミルウォーキー・ジャーナル・センティネルの最近の報道を受け、この女性に正式謝罪した。女性の投稿を削除した理由は「コメントには『家族向きの表現』だけを認めるという以前の方針に反していたため」と説明している。
このホテルでは別の女性も15年に性的暴行を受けており、本人がそれについて投稿しようとしたが、医者が診断したという内容についてトリップアドバイザーから「第三者による医療診断という伝聞が含まれる」と指摘されたため、最終的に投稿をあきらめたという。
新しい方針では、トリップアドバイザーはリビューの掲載を拒否する場合は理由を明確にするよう試みるという。
旅行者の性暴力被害は以前からある問題で、トリップアドバイザーにはさまざまな国に関して被害を受けたという旅行者の投稿が掲示されている。こうした場所は政府も認識しており、国務省はウェブサイトで、メキシコに関する旅行情報として「リゾート地区などではレイプや性的暴行が深刻な問題となっている。夜間や早朝に多く発生し、場所はホテルの部屋、人気のないビーチで、飲み物に薬物を入れられるといった例が多い」と警告している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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