米金融サービス大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は14日、新型コロナウイルス危機が金融危機(リーマン・ショック、2008~2009年)の4倍の打撃を与え、米国では、第二次世界大戦以来最高の失業率を強いられるという予想を示した。
CNBCによると、発展途上国の多くがウイルス感染拡大を阻止するために経済活動の大部分を停止または制限することから、2020年第2四半期(4~6月)の世界GDPは年率換算で前年同期比11%減、前四半期比では35%も落ち込む、とゴールドマン・サックスは予想する。
米国内の失業率は、控えめに見積もっても15%に達する可能性があり、新型コロナウイルス禍が終息するまで雇用機会はないという市民のあきらめによって、仕事を探すこともせずに無職状態を続ける人口が増えると予想される。
ゴールドマン・サックスによると、米経済はそれによって世界経済とほぼ同じ打撃を受け、第2四半期のGDPは年率換算で前年同期比11%減、前四半期比では34%減と見込まれる。それらの予想値はリーマン・ショックよりはるかに悪く、失業率にいたっては第二次世界大戦以来最悪になる可能性がある。
ただ、ゴールドマン・サックスは、パンデミックの終息後には「前例がないほどの」景気回復を遂げると予想する。
同社のジャン・ハツィアス主任エコノミストは、米株式市場が3月に複数回記録した史上最大の暴落からすでに大幅に回復し、さらに、株式市場の変動はパンデミック以外の要因には左右されていないと指摘。「新規の感染者数が世界的にピークに達しつつある」という見方や、「医療資源や医療サービスの利用が落ち着き始めつつあり」、そして「ニューヨーク市のように大打撃を受けている都市の実質新規入院者数も過去数日に横ばいか減少に転じた」ことから、終息時期が見え始めたあとに急激に回復する、と同氏は述べた。
ただ、完全なる終息時期の予想については、同氏は具体的な日にちの明言を避けた。「通常通りのビジネス」は、有効なワクチンが出回るまで戻ってこないだろう、と同氏は話す。ワクチンの開発は通常、12ヵ月~18ヵ月を要する。米政府機関と一部の創薬会社やバイオ技術会社らは2月または3月からワクチン開発に取りかかっている。非常事態であるため臨床試験の手続きが迅速化されることで、早ければ2021年初めにワクチンの 量産が始まる可能性がある。
同氏は、第3四半期の成長率を前四半期比19%、ことし最終四半期の成長率を前四半期比12%と予想している。「きわめて異例の急激さだ。パンデミック・ショックからの景気回復という特異な状況がなせる業と言えるだろう」と同氏は述べた。
【cnbc.com/2020/04/14/goldman-downturn-will-be-four-times-worse-than-the-financial-crisis.html】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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