人工知能を悪用した偽装求職者の遠隔面接に対抗する方法 〜 各社の人材採用担当者を悩ます不正行為が激増

人工知能の進化が人材の遠隔採用(募集から選考、内定までの一連の採用過程を、対面せずオンライン上だけで行う手法)における新たなリスクを生じさせている。アナリティクス・インサイト誌によると、求職者がディープフェイク動画や音声クローニング、生成人工知能チャットボットを悪用することで、実在人物になりすましてリアルタイムで面接に回答する事例が急増しているためだ。

▽「ライブネス」試験で相手の実在性を検証

サイバーセキュリティー研究者たちの報告では、合成された映像や音声を用いて面接を突破しようとする偽装求職者が2025年に激増した。採用側はそういったなりすまし面接を見破らなければ、金銭的損失やセキュリティー侵害を招き、深刻な被害を受ける。

CBSニュースが引用した業界報告書では、2028年までに人材採用への応募数の4分の1が人工知能を悪用した不正で占められる可能性が指摘された。

候補者が先進技術を高度に使えば、従来の履歴書や単純な動画面接ではその真偽を判別できない。人材資源管理班や採用担当者らは、政府発行の身分証明カードの確認や自撮りによる生体認証、身体的実在を確認する「ライブネス(liveness)」試験といった重層的な検証を導入する必要がある。

それらを採用候補者追跡システム(applicant tracking system=ATS)に組み込み、標準化することで偽装求職者を減らし、遠隔採用の信頼性を高めることが求められる。

▽応答遅延や挙動不審が兆候

人工知能による偽装面接を防ぐには、リアルタイムの突発的な指示が有効だ。採用側は求職者に対して、たとえば頭を回すや予期せぬテキストの読み上げ、個人的経験を語るといった即興の行動を求めることで、相手の物理的存在を担保できる。

現在のディープフェイク技術では、そういった突発的動作を自然に再現することはきわめて困難だ。応答の遅延や不自然な目の動き、口の動きと音声のずれも人工知能悪用の兆候だ。

また、非構造化面接(面接担当者が候補者の回答に応じて自由に対話を進める形式)は、人工知能が想定して生成した台本に候補者が依存することを容易にする。構造化面接はそれに対し、職務に関連する能力や経験に照準するため人工知能による偽装が困難になる。

▽経理部や財務部での採用では対面確認が必要

2024年に発表された研究報告では、非同期の動画面接(面接担当者と候補者がリアルタイムで会話をするのではなく、録画形式で行われる面接)は人工知能の支援を受けやすいことが判明した。職能に照準した構造化面接や、生での問題解決演習、ロール・プレイングを導入し、記憶や生成された回答ではなく、真の実力を測定することが肝要だ。

特に、採用後に経理部や財務部、法務部といった重要データをあつかう部署に配属される人材については、新人研修の前に、より厳格な本人確認や、場合によっては対面での徹底的確認が必要となる。

さらに、各社が採用しているさまざまの人材採用向け人工知能ツールの進化にあわせて、詐欺防御策が有効性を維持しているかどうかを定期的かつ継続的に検証する監査も不可欠だ。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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