インターフェイスと機能性が最重要~消費者電子製品にみる重点移行

 電算業界は過去20年間に、いくつかの時代を経てきた。90年代は、より速く、より強力なコンピュータの開発競争時代で、2000年代は、よりスリムで、より明るいスクリーンのパソコンの開発に重点が移行した。そしていま、同業界は、機能設計(デザイン)時代に突入している。

 ニューヨーク・タイムズによると、電算機器需要がデスクトップからラップトップ、そしてスマートフォンやタブレットに移行した現在、利用者インターフェイスの独自性と機能性の設計が最も重視されるようになった。

 設計専門家らによると、我々がこんにち使っている機器のほとんどはほぼ同じに見えることから、そのプラットフォームで稼働する各種のアプリケーションで差別化を図ろうとする動きが強い。

 演算処理力や電池持続時間はいまや、差別化の要素にはならない代わりに、ソフトウェアの視覚的要素と機能性が、競合製品に勝つための最も重要な要素とみなされるようになった。

 アップル(Apple)の元設計技師で、現在は、自動車共有アプリケーションおよびサービスの新興企業サイドカー(Sidecar)に勤めるシーザー・トレス氏は、先日発表されたiOS 7について、部分的には気に入らないところもあるが、「デザイン(インターフェイスと機能性の設計)」という言葉が見出しに出てくるようになったことに嬉しく思う、とツイッター(Twitter)に書き込んでいる。

 同氏が指摘したように、「デザイン(インターフェイスと機能性の設計)」は現在、携行型情報端末業界において最も重視される要素だ。これまで、機能設計がこれほど注目され重要になったことはなく、ハードウェアの性能が差別化の主流だった。

 「20年前なら、機能設計に投資するベンチャー・キャピタリストはいなかった」と話すのは、フューズプロジェクト(Fuseproject)のイヴ・ベーハー氏だ。同氏が創設したフューズプロジェクトは、サンフランシスコ拠点の機能設計専門会社。

 ベーハー氏によると、いまでは各社の最高経営責任者や幹部、ベンチャー・キャピタリストらと協議すると、利用者インターフェイスや使い勝手、使い心地に関する議論が主流となる。20年前にはありえなかったことだと同氏は強調する。

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