憲法解釈変更は困難 集団的自衛権で最高裁判事

 【共同】内閣法制局長官から最高裁判事に就任した山本庸幸氏(63)が20日、東京都千代田区の最高裁で記者会見し、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する考え方について「法規範そのものが変わっていない中、解釈の変更で対応するのは非常に難しい。実現するには憲法改正が適切だろう」と持論を述べた。

 就任は同日付。最高裁判事が、司法判断の場以外で政治的課題への見解を明らかにするのは異例。安倍晋三首相は解釈変更に前向きな小松一郎氏を新長官に起用し、山本氏は今月8日に退任した。

 山本氏は「憲法では、日本が他国から攻撃された場合に、必要最小限度で反撃する武力の保持は許される」と説明。集団的自衛権は「そもそも日本が攻撃されていないことが前提の話であり、旧来の解釈を変えるのは難しい」と指摘した。

 その上で、集団的自衛権の行使は、憲法9条の改正によって対応すべき問題との認識を示し「改正するかどうかは国民と国会の判断だ」と述べた。

 政府が解釈見直しのために法制局長官の人事に介入したとの見方については「私が申し上げることではない」と述べるにとどめた。

 会見では就任の抱負として「法令の知識を生かし、誠心誠意、ひるむことなく判断していきたい」と語った。

 愛知県出身。京大法学部卒。1973年に通産省(現経済産業省)に入省。通産省生活産業局繊維製品課長、内閣法制次長などを経て2011年12月から内閣法制局長官を務めた。今年7月に定年退官した竹内行夫氏の後任。

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