UPS、大規模データ分析で最適経路を特定 〜 走行距離の短縮で燃料費節約

 米宅配サービス大手UPSが導入した配送経路最適化ソフトウェアは、2013年末までに配送トラック用燃料150万ガロン以上、二酸化炭素排出量にして1万4000トン以上を削減する見込みだ。

 エンバイロメンタル・リーダー誌によると、同ソフトウェア「オリオン(ORION)」は500種類の専用材料をもとにして、最も効率的な配送経路(最短の走行距離や信号待ちの最も少ない経路、曲がる回数が最も少ない経路、最も混雑しない経路)を割り出すもので、年末の繁忙期までに1万経路を最適化する見通し。

 UPSは10万台以上の配送トラックを持っており、同社のすべての運転手が1日の走行距離を1マイル減らすだけで、同社全体で年間5000万ドルを節約できる。

 オリオンには2億5000万件以上の住所データ・ポイントが含まれており、同社がこれまでに収集してきた配送に関する顧客の要件も加えられ、独自の地図データが作成されている。

 オリオンに使われているデータ分析技術の開発は、10年以上前から進められてきた。UPSでは2008年に、必要なデータを収集するために高度なGPS機能と車載検知器を導入し、また、運転手に支給する同社独自の携帯端末からのデータを組み合わせることで、オリオンの地図データと分析アルゴリズムを開発した。

 同社は2008年から2011年にかけて11ヵ所で試験板オリオンを実験的に運用。同時に、ベテラン運転手の参加を仰いでどちらが効率の良い経路を特定できるか競わせ、その結果をアルゴリズムに活かした。

 オリオンは、運転手がUPSの事業所を出る直前まで、配送経路の選択肢を常に評価し続ける。オリオンが完全に導入されれば、1分間につき数万件の経路最適化を実行する。

 また、オリオンは将来的にUPSの「マイチョイス」サービスを向上する目的にも使われる。同サービスは、最大600万人の個人顧客に、配送経路に沿って受取場所や受取日時を調整する柔軟性をもたらす。

 米国内の全5万5000経路のほとんどに導入されるのは2017年になるもよう。また、世界規模での導入もいずれ計画される見通し。

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