特許出願32万件のデータが示す今後の急成長5大技術 〜 電池や電解化学、貴重材料回収が上位を占める

米国の特許データを集計かつ分析するIFIクレームス・パテント・サービシズ(IFI CLAIMS Patent Services)によると、世界で32万3272件におよぶ2024年の特許出願の統計から、今後の成長が特に著しい技術トップ10が明らかとなった、とフォーブス誌が報じた。本稿では、そのうち上位5つを紹介する。

▽1位は電池の作動または保守

同番づけは、過去数年間の特許出願データをもとにCAGR(Compound Annual Growth Rate、年平均成長率)を算出し、現在と将来の技術傾向を示す重要な指標として注目される。

今回の番づけできわ立つのは、従来のデジタル技術や人工知能一辺倒という構図ではなく、持続可能性や材料、化学工程といった「物理世界の技術」が上位を占める点だ。とりわけ電池や電解セル、資源再生利用関連の分野が出願数や成長率の面で強い伸びを示している。

もっとも急成長する技術として1位に挙げられたのは「電池の作動または保守(Operating or Servicing Cells)」で、2019~2024年の5年間で27%超のCAGRを記録した。

同技術は、電解セルや電池の基本構造、運用方法にかかわるもので、持続可能のエネルギー供給や電気自動車用蓄電池の需要増と密接に関係する。同分野では、パナソニックや東芝、ホンダが多くの関連特許を出願している。

▽非鉄金属回収や高たんぱく質抽出、物質科学が続く

2位は「非鉄金属や化合物を原料以外から生成する技術」だ。具体的には、銅やアルミニウムといった非鉄金属の再生利用や回収工程を改善する技術だ。同分野の出願数は約26%の成長率を示した。資源循環型社会への移行が求められるなか、廃棄金属から高価値材料を効率的に回収する技術や手法の発明が増加している。

3位には「廃棄物材料の回収および再利用」が入っており、同技術の出願数も26%以上の成長率を記録した。プラスチックやゴムといった廃棄物の分解および再合成技術は、循環型経済の中核となる分野として関連会社らの投資が活発化している。

4位には「食品用たんぱく質の加工技術」が入った。人口増加と食糧需要の変化を受けて、動物由来でない原料から高たんぱく質を取り出す技術への関心が高まっており、食品会社らを中心に特許出願が増えている。

5位以降も「無機化合物や非金属の電解生産」や「微生物関連技術」を含め、物質科学や化学処理工程に関連する技術が目立つ存在となった。

▽より社会的かつ持続可能性の高い領域へと移行

そういった傾向は、人工知能アルゴリズムといったソフトウェア領域を超えて、「物理的または化学的な革新」が今後の成長を牽引することを示唆している。人工知能技術が上位に多数入っていないという事実は、人工知能関連技術がすでに成熟段階に入りつつあり、相対的な年成長率が鈍化しているためとみられる。

一方で、環境負荷軽減やエネルギー変換、循環型資源利用といった「現実世界の課題解決型技術」が多く番づけされたことは、技術開発がより社会的かつ持続可能性の高い領域へと移行していることを示すと考えられる。

分析対象の特許は、いずれも米国特許&商標庁(United States Patent and Trademark Office=USPTO)に提出された出願データだ。

特許出願は、技術開発が進行中であることを示す早期の指標として評価され、実際の製品化や商業展開に先行した兆候を示す場合が多い。出願データをもとに成長分野を追う手法は、投資家や各社の戦略立案にも活用されている。

6位から10位は、鉱石またはスクラップの前処理、電解槽部品、ハイブリッド・セル、スクラップからの非鉄金属の回収、無機化合物の電解製造だった。

特許出願数は年々増加傾向にあり、特に環境、素材、エネルギー関連の技術分野では今後も高い成長が期待される。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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