過剰な食事サービスやめよ〜アムトラックの監査報告
- 2013年11月15日
- 米国ビジネス
連邦政府が出資する全米鉄道旅客公社(アムトラック)が、長年かけて経費を減らした現在も車内の食事サービスではワインの無料提供や豪華メニューの低価格販売などを続け、多額の損失を出しているという監査結果を、財務省のテッド・アルベス監察官が下院監視政府改革委員会(HOGRC)の公聴会で報告した。
ブルームバーグ・ニュースによると、アムトラックは2012年、食事サービスで7200万ドルの赤字を計上し、そのほとんどは長距離路線で提供する車内食から来ていた。アルベス監察官は証言で「食事サービスの赤字は連邦補助に直接つながる長年の問題」と指摘し、一部を外注することで損失は減らせるはずだと述べた。
アムトラック路線のうち、バージニア州とフロリダ州を結ぶ「オート・トレイン」は乗客にワインとチーズを無料で提供し、3つの長距離路線も寝台車の乗客にワインやシャンペンを無料提供しており、12年はこのコストが合計42万8000ドルに上った。また、アムトラック職員が無料パスを使ってオート・トレインを利用した際に出された無料の食事だけでも約26万ドルのコストがかかった。
証言したアムトラックのトーマス・ホール顧客サービス責任者によると、キャッシュレス販売、乗員数の削減、供給網の改善といったこれまでの努力で赤字は06年以降30%縮小しており、食事サービスは5年以内に採算が取れる見込みだという。
しかし、政府事業小委員会委員長のジョン・ミカ議員(共和、フロリダ)は「食事関連の収支が改善しているのは、乗車券収入が大幅に増加し、その一部で食事の損失を補てんしたから。口座間で資金を動かした粉飾決算だ」と指摘した。
アルベス監察官によると、メイン州とアラスカ州が民間業者に委託して運営する旅客鉄道では、食事サービスの人件費が諸手当なしで時給7.75〜13ドルと、アムトラック(諸手当込みで41.19ドル)より大幅に安くなっている。
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