コウモリ60万匹が衝突死〜風力発電のタービンに

 米国では2012年、60万匹を超えるコウモリが風力発電の風車(タービン)にぶつかって死んだという調査結果を、コロラド大学の生物学者が発表した。

 ロサンゼルス・タイムズによると、同大学のマーク・ヘイズ氏が、風力発電施設の周辺で見つかったコウモリの死骸の数や統計学的分析から推定し、科学誌バイオサイエンスで発表した。これまでも複数の調査で衝突死の数は年間3万3000〜88万8000匹と推定されていたが、ヘイズ氏の推定値は高い方に属する。

 出力1メガワット当たりの死亡数でみると、衝突死が最も多いのはテネシー州バッファロー・マウンテンやウェストバージニア州マウンテニアなど、東海岸のアパラチア山脈にある発電施設だった。

 ヘイズ氏は、西海岸のシエラネバダやロッキー山脈周辺の情報が少ないこと、死んだコウモリの数を数える前に一部は動物に食べられている可能性が高いこと、1つの施設について複数の推定死亡数が提供された場合は最小値を使ったこと…を理由に、推定値は控えめだとみている。

 米国には45種類のコウモリがいるといわれているが、体が小さく夜行性であることから詳しい調査は難しく、生息数は正確には分からない。コウモリは1年に1匹しか子を生まず、幼いコウモリは死亡率が高いため、正常な環境でも繁殖力は弱いが、近年は気候変動や「白い鼻症候群」と呼ばれる感染症の流行などで数が減っている。

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