自動車2社救済は有益だった〜業界シンクタンク
- 2013年12月11日
- 米国ビジネス
財務省が9日、巨額の公的資金で救済したゼネラル・モーターズ(GM)の株式売却を完了したのに合わせ、業界シンクタンクの自動車研究所(CAR)は、今も国民の批判が残るGMとクライスラーの政府救済を肯定的に評価する報告書を発表した。
ロサンゼルス・タイムズによると、CARは2009年に経営破綻したGMとクライスラーの救済で、政府の損失が総額で約137億ドルに上ると分析した。その一方で、公的資金が投入されたことで「失業保険や社会保障の給付で1053億ドルの損失が生じたり、個人・社会保険税の徴収が不能になったりする事態が避けられた」と評価した。それらの損失総額は純投資額の768%に当たるという。
CARはさらに、2社の救済と経営再建を通じて、09年の雇用約260万人分と、同年と10年の個人所得計2844億ドルが失われずに済んだと分析した。
一方で、救済の効果の算定は難しいという見方もある。保守派の自由至上主義(リバタリアン)的傾向が強いケイトー研究所のダン・ミッチェル上級フェローはCAR報告書について、救済がなかった場合に業界が強いられたはずのアジャストメント(調整)を重視していないと指摘した。「労働コストや就業規則で意義深い妥協が行われ、そうした調整によって業界の地盤はもっと健全になっていたはずだ」と、ミッチェル氏は話した。
財務省発表によると、GM救済では公的資金が総額約495億ドル投入され、株式低迷で回収額が約390億ドルにとどまった結果、損失は約105億ドルに上った。
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