アップル、電気自動車と医療機器に食指 〜 脱モバイル路線で新事業開発か

 スマートフォンやタブレットの世界的な販売鈍化を受けて、次なるヒット製品の発表を求められるアップル(Apple)は、車や医療機器の分野に強い関心を示し、新たな分野への事業拡大を視野に入れていると指摘される。

 サンフランシスコ・クロニクル紙が関係者の話として伝えたところによると、アップルの買収&合併責任者エイドリアン・ペリカ氏は2013年春に、カリフォルニア州クパティーノにあるアップル本社で電気自動車(EV)大手テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と会っている。

 シリコン・バレーの巨大企業間で上席幹部同士が会ったということは、アップルがテスラの買収や出資、技術提携に大きな関心を抱いていることを示唆するものだ。

 アップルはまた、心臓発作を予知する検知技術にも関心を示している。関係筋によると、アップルは、動脈内血流音によって心臓発作の危険性を検知する技術開発の状況を追っている。同技術は、THXや10.2サラウンドサウンドを開発した音響技術者のトムリンソン・ホルマン氏が中心となって進めている開発事業だ。

 エドワード・ジョーンズ・インベストメンツの業界専門家は、「アップルが故スティーブ・ジョブズ創設者のヴィジョンを超えて再成長するためには、新製品を開発しその比重を大きくしなければならない」と話す。

 そのためには、技術や事業、企業を買収することで、従来事業とは別の領域への進出が必要となる。

 アップルは209年に、ペリカ氏をゴールドマン・サックスから雇い入れた後、数々の事業買収を加速させている。2014年1月に開示された資料によると、前四半期におけるアップルの買収支出は5億2500万ドルと前年全体の2倍近くに上る。

 アイフォーンやアイパッドは依然として根強い人気があるが、米国のモバイル機器市場は成熟しており、飽和状態に近づいていると以前から指摘される。それと同時に、iOS製品は、アンドロイド機器との激しい競争に世界中で直面している。

 EVや心臓監視システムは、以前から噂されるアイウォッチ(アップルが開発中と言われるスマート腕時計)やグーグル・グラスといった身体装着型端末とは全く異なる分野で、アップルにとっては新領域となる。

 独投資銀行の技術業界専門家は、アップルのティム・クックCEOや取締役会宛の公開書簡を2013年10月に発表し、「アップルはテスラを買収すべき」という考えを明示している。

 「マスク氏と提携すれば、アップルの成長戦略青写真が大きく変わり、技術革新の動きを先導する新しい象徴的協力者を得られる可能性がある」という見解をその業界専門家は示した。

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