心疾患の死亡率を20%改善〜ノバルティス新薬にヒットの期待
- 2014年9月3日
- 米国ビジネス
スイスの製薬大手ノバルティスは、開発中の新薬が心疾患の死亡率を他社の薬より20%低下させたと発表した。
ウォールストリート・ジャーナルによると、同社の新薬「LCZ696」(開発コード)は、慢性心不全患者向けに開発された。臨床試験では8400人以上の患者を対象に、現在最も一般的に処方されている低価格の後発薬エナラプリルと比較した結果、LCZ969を服用した患者は、あらゆる原因を合わせた死亡率がエナラプリルを服用した患者より16%低く、入院率は21%低かった。
LCZ696は、2つの薬を組み合わせて作られ、1つは血管を細める血中ホルモンの形成を阻止するエナラプリルのようなACE阻害剤と似た働き、もう1つは心臓の自然な防御機能を強化し、血量や血圧の上昇に対応できるようにする働きがある。
服用は1日2回で、高血圧/低血圧のリスク上昇やせきなどの副作用があるが、血圧の副作用に関しては試験を離脱するほどの患者は少なく、せきはエナラプリルでも見られる。
先進国では高齢者の慢性心不全が増えており、心不全を含む心血管疾患は世界的な死因の首位となっている。しかし治療薬はこの10年ほど変わっておらず、死亡率が15%以上改善しない限り医師は高価な新薬には切り替えないと見られていた。LCZ696はその基準を上回る改善を証明したため、業界アナリストは「ピーク時の売り上げは20〜60億ドルに上る可能性がある」と見ている。
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