加州のメタン漏れ、米最大のガス流出事故に

 カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のポーターランチで起きた天然ガス貯蔵施設のガス漏れは、米史上最大のメタンガス流出事故になったことが、連邦海洋大気局(NOAA)最新調査で明らかになった。

 ロイター通信によると、NOAAはこのほど初めて事故の全体像をまとめ、報告書が科学誌サイエンスに掲載された。アライソ渓谷の貯蔵施設から漏れ出したメタンガスの総量は、ガス漏れが発覚した昨年10月23日から破損した地下パイプが修復された今年2月初めまでに9万7100トン(50億立方フィート)に上った。

 天然ガスの主成分であるメタンは、二酸化炭素(CO2)より強力な温室効果ガス(GHG)で、10年間は大気中にとどまる。同地のメタン流出量は、欧州連合(EU)の中規模国のエネルギー業界の年間排出量に相当し、報告書作成に関わったNOAAのトム・ライヤーソン氏は「これは米史上最大のメタン漏れ事故になったことを意味する」と述べた。

 04年にテキサス州で起きた天然ガス漏れ事故では、もっと大量の天然ガスが流出したが、ほとんどは爆発と火災で消費されたため、メタンが大気に加わることはなかったという。これに対しアライソ渓谷の事故は、環境に与える影響がはるかに大きく、漏れ出したメタンは57万2000台の乗用車を1年間走らせた量に相当し、報告書は「加州の温室効果ガス削減目標の達成に甚大な影響を与える」と指摘した。

 事故があった施設は、センプラ・エナジー傘下サザンカリフォルニア・ガスの所有。この種の天然ガス貯蔵施設として米国で4番目に大きく、漏れ出したメタンは貯蔵能力の3%にとどまる。今回の事故では、多くの周辺住民が体調不良を訴え、6600世帯以上が避難を強いられている。

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