EXPO West 2026 現地レポート

会場で見えたアメリカ食品トレンドのリアル

毎年カリフォルニア州アナハイムで開催される Natural Products Expo West は、ナチュラル・オーガニック食品業界における世界最大級の展示会の一つだ。2026年も数千のブランドが出展し、食品メーカーやバイヤー、投資家など多くの関係者が会場に集まった。

私自身これまで何度か訪れているが、今年の会場は例年以上の活気に包まれていた。通路は常に来場者で埋まり、試食ブースには長い列ができる。ナチュラル食品市場の拡大と競争の激しさを肌で感じる展示会だった。

展示会の会場を歩くと、食品トレンドはレポートで読むよりも立体的に見えてくる。今回のExpo Westでも、いくつかの特徴的な動きがはっきりと表れていた。

「Protein Everywhere」

プロテインは食品カテゴリー全体へ広がる

今回の展示会で最も印象的だったのは、プロテインの存在感だ。

会場の入口付近にはナッツバーで知られる KIND のブースがあり、新商品として「PROTEIN MAX」が大きく打ち出されていた。しかしプロテインの訴求は特定ブランドに限らない。会場を歩いていると、「High Protein」という表示が視界に入り続け、プロテインを打ち出していない商品を探す方が難しいほどだった。

例えば

  • プロテイン入りスナック
  • プロテイン入りシリアル
  • プロテインドリンク
  • プロテイン入りパスタ
  • プロテイン入りデザート

など、ほぼすべての食品カテゴリーで高タンパクを訴求する商品が並んでいた。

Expo Westでは近年、プロテインが特定のジャンルではなく食品全体に広がる 「Protein Everywhere」 という流れが指摘されている。今回の展示会は、その傾向がさらに強まっていることを示していた。

また植物性タンパク質の文脈では、EDAMAME(枝豆)を原料としたスナックやパスタなどの製品も多く見られた。枝豆はすでにアメリカ市場において植物性タンパク源として広く浸透しており、日本発の食材の中でも特に定着した存在になっているようだ。

さらに日本食材では 抹茶 も多くのブースで見かけた。ドリンクやスナックなど様々な形で使用されており、もはや特別な素材というより、健康志向の食材として自然に定着している印象だった。

発酵食品と「Umami」の再評価

もう一つ目立っていたのが、発酵食品への関心の高まりだ。

Expo Westでは展示ブースだけでなく、カンファレンスやKeynoteでも腸内環境や機能性食品といったテーマが多く取り上げられていた。その流れの中で、発酵食品や発酵由来原料への注目も高まっているように見える。

実際、会場では

  • 発酵スナック
  • 発酵ナッツ
  • 発酵調味料
  • 腸内環境を訴求する食品

など、「発酵」をテーマにした商品が数多く並んでいた。

健康志向の高まりとともに、腸内環境や消化機能を意識した食品への関心は拡大している。発酵はその中心的なキーワードの一つだ。

この流れの中で、日本の発酵食品も存在感を示している。

例えば Marukome(マルコメ) のブースでは、味噌を使ったパスタが紹介されていた。クリームパスタにおいて、従来の調味料の一部を味噌で代替することで、料理にコクと深みが生まれ、さらに健康的な食材として訴求されている。

ここで興味深いのは、味噌が「日本料理の調味料」という枠を超え、Umamiを加えるグローバルな食材として扱われている点だ。発酵食品の人気と、日本食の味覚が自然に結びつき始めている。

日本ブランドのローカライズ

日系ブランドの展示にも、いくつか興味深い変化が見られた。

例えば Kikkoman(キッコーマン) は、従来のパッケージからよりアメリカ市場向けに分かりやすいデザインへと刷新していた。用途が直感的に伝わるデザインは、現地市場への適応を強く意識したものと言える。

また Kewpie(キューピー) のマヨネーズはアメリカでも非常に人気が高く、オーガニックラインが好調とのことだった。日本発の調味料が、現地市場でも定番商品として定着している好例だ。

さらに豆腐ブランド Mori-Nu は杏仁豆腐などの新商品を展開。パッケージも硬さごとに色分けするなど、より分かりやすい設計に変わっていた。ちなみに現地では Extra Firm(最も固い豆腐) が最も人気だという。炒め物など、アメリカの料理スタイルに適しているためのようだ。

展示ブースは「体験型」へ

展示ブースの演出にも変化が見られた。

近年のExpo Westでは、商品を並べるだけの展示ではなく、来場者が体験できる仕掛けを取り入れるブランドが増えている。

例えば

  • UFOキャッチャーを設置したブース
  • ITOENによる自動販売機の展示
  • Oatlyのベルトコンベア型試飲ステーション
  • プロテインブランドによるセルフドリンクバー

など、来場者が楽しみながら商品を体験できる仕組みが数多く見られた。

展示会そのものが、単なる商品紹介の場から
ブランド体験を提供する場へと変化していることを象徴する光景だった。

まとめ

2026年のExpo Westから見えてきたのは、食品の価値の変化だ。

  • プロテインは食品カテゴリー全体に広がる
  • 発酵と腸内環境が重要なキーワードに
  • 日本食材が健康食材として定着
  • ブランド体験型のマーケティングが進化

今後の食品市場では、「おいしさ」だけでは足りない。

健康機能 × ストーリー × 体験

この3つをどう組み合わせるかが、ますます重要になっていきそうだ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

さおり ララ

さおり ララ

ライタープロフィール

山梨県出身。ロサンゼルス在住10年以上の元KBC九州朝日放送アナウンサー。日本食と家庭料理に熱いパッションを持ち、現地スーパーやカフェで最新食品をチェックしながら、体感を交えて情報を発信。YouTube「SAORI Japanese Kitchen」では、英語でレシピや食文化を紹介している。
▶ SAORI Japanese Kitchen(YouTube)
https://www.youtube.com/@SaoriJapaneseKitchen

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 植民地から合衆国建国へ 18世紀半ば、現在のアメリカ東海岸にはイギリスの支配下にある...
  2. 2025年12月1日

    就職&雇用ガイド2025
    監修 STS Career https://usfl.com/author/stscar...
  3. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  4. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  5. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  6. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  7.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  8. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
ページ上部へ戻る