気候変動による気温上昇の影響で、暑すぎて仕事の能率が下がる地域が増え、世界の労働生産性が大幅に低下しているという調査結果を、国連大学の研究機関がまとめた。こうした生産性の低下が世界経済に与える損失は2030年までに2兆ドルを超えると見込まれる。
ロイター通信によると、国連大学グローバルヘルス研究所(UNU-IIGH)はアジア太平洋公衆衛生ジャーナルに掲載された報告書で、東南アジアだけでも猛暑ですでに年間労働時間が20%減少している可能性があり、今後も気候変動の影響が強まれば50年までには40%減少すると予測した。
インドネシア、マレーシア、中国、インド、バングラデシュなどアジアを中心とする43カ国では、生産性の低下で国内総生産(GDP)が減少すると予想され、30年までにインドネシアとタイのGDPは6%、中国は0.8%、インドは3.2%減少する可能性がある。
猛暑の影響を最も強く受けるのは重労働、農業、製造業などに関わる低賃金労働者で、各国が真剣に温暖化対策に取り組まなければ「50年以降は災害の頻度や規模が劇的に拡大し、今世紀末には世界の最貧困層を中心に非常に危険な状況になる」と警告している。
2015年は、19世紀に記録を取り始めて以来最も暑い年となり、2016年も1〜3月に過去最高気温を記録している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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