インターネット通販の需要が減速する中、ソーラーパネル、電気自動車(EV)、EV用電池などのメーカーによるサプライチェーン(材料供給網)構築の動きが倉庫業界の追い風となり、米国の産業用不動産に占める代替エネルギー関連企業の割合が高まっている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、事業用不動産サービス大手CBREのデータでは、EVやリチウムイオン電池などのEV部品を製造・販売する企業による不動産リースは、2023年1~3月期に前年同期比で2倍以上に増加した一方、新型コロナウイルス禍をきっかけに急増したオンライン小売業のリースは約66%減少した。
これは、代替エネルギー企業が消費者や企業の需要を満たすため、また国内製造業の活性化を目指す連邦政府の補助金に対応して、国内でサプライチェーンを拡張しているためだ。代替エネ関連企業が占有するスペースは、通販業者や実店舗が在庫を保管する倉庫に比べれば小さいが、この分野の成長は、eコマース企業がリースを縮小する状況で産業用不動産を支えるのに役立っている。
新型コロナのパンデミック中は、さまざまな商品を通販で購入する在宅消費者の急増でアマゾンのような小売業者が急成長し、産業用不動産の空室率は数年来の低水準になったが、最近は消費者が実店舗に戻っているほか、急速なインフレで裁量支出が鈍り、eコマースの成長は減速。アマゾンなどの企業は倉庫リースの決定を遅らせている。
米主要市場における10万平方フィート以上の新規リースと更新を調べたCBREのデータによると、1~3月期にeコマース関連企業が結んだリース面積は計470万平方フィートと前年(1370万平方フィート)から大幅に減少。EV/EV部品の製造・販売業者のリースは150万平方フィートから340万平方フィートに増加した。
二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指す企業やEVを求める消費者からの強い需要を受け、グリーンエネルギー製品を製造する企業の多くは米国、メキシコ、カナダで事業を拡大している。連邦政府はインフレ抑制法(IRA)に基づき、米国内および近隣諸国のクリーンエネルギー技術メーカーに補助金を交付している。
不動産サービス会社コリアーズによると、22年の米国における製造施設の建設は、この補助金を目当てにした企業によって前年の2倍以上に増加しており「自動車とエネルギー関連企業がこの分野の大部分を占めている」という。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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