フォードの電気自動車(EV)オーナーは、2024年春からアダプターを使ってEV大手テスラ独自の急速充電器「スーパーチャージャー」約1万2000基にアクセスできるようになる。
■初の直接提携
オートモーティブ・ニュースによると、これは競合するフォードとテスラの直接提携によって実現した動きで、25日にフォードのジム・ファーリーCEOとテスラのイーロン・マスクCEOが短文投稿サイトのツイッターで発表した。またフォードは、25年から従来のCCS規格の充電ポートを備えたEVの製造をやめ、テスラが推奨するNACS規格充電ポートに切り替えて、特別なアダプターを使わなくて済むようにするという。
ファーリーCEOは自社ウェブサイトで「急速充電への幅広いアクセスは、EVブランドとしての当社の成長には絶対に不可欠で、今回の画期的な合意は、人気の高い「マスタング・マッハE」や「F150ライトニング」の生産を拡大し、25年から始まる一連の次世代EV発売の準備を進める中で実現した」と説明している。
テスラは米国内で約1万7000基のスーパーチャージャーを運営しており、フォード車オーナーはその大部分を利用できることになる。テスラは23年初め、スーパーチャージャー充電網を外部の自動車メーカーに開放したが、これはテスラ以外のEVに3500基の充電スタンドを開放するにすぎず、今のところ非テスラ車に開放している充電ステーションはほんの一握りにとどまっている。
■既存の充電網ではアダプター必要に?
マスク氏によると、24年春から利用が始まるフォードのEV用アダプターの価格は「数百ドル程度」になる。ただ、不明なのは、25年から生産が始まるNACS規格充電ポートを備えたフォードのEVと、1万基の急速充電器を含む約8万4000基の充電器で構成される現在のフォードの外部充電ネットワークとの互換性だ。
広報担当者は「いずれサードパーティの充電ステーションがNACSポートと接続するプラグを提供することになる」と予想しているが、誰がその費用を負担するかは不明だという。
また、フォードのディーラーが将来のEVを販売するための基準の一つとして、充電ステーションの設置を求められることに変わりはないが、必要な場合にディーラーがアダプターを提供するのか、顧客が持参する必要があるのかもまだ不明だ。
フォードのEV部門「モデルe」のマリン・ジャヤ最高顧客責任者(CCO)は「テスラのスーパーチャージャー・ネットワークは信頼性が高く、NACSプラグはより小型かつ軽量で、全体として顧客に優れた体験を提供できる」と述べている。
フォードのファーリーCEOは、22年の家族旅行中にテスラの充電ネットワークに対する評価を高め、子供たちがスーパーチャージャーを見つけて口にするたび、テスラのチームが成し遂げた仕事と、それが顧客にとってどういう意味を持つかを実感したという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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