生成人工知能は業務の効率化や生産性の向上に役立つ一方、さまざまのリスクを利用会社らにもたらす。そのため、多くの会社らは、生成人工知能を業務活用する際に規則を導入しつつある。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、会社らが導入しているおもな規則として下記6つが挙げられる。
1)バイアスに注意する:生成人工知能の訓練に使われたデータ・セットによっては人口統計学上の偏りがあり、それが利用会社の成果物に反映されることがある。成果物を確認する人間が判断力を働かせることで、人工知能がもたらすバイアスに適切に対応する必要がある。
2)公開プログラムに社内情報を使わない:ほとんどの生成人工知能プログラムはプロンプトやチャットの履歴を保存し、モデルの訓練に使っている。そのため、ある利用者の入力した情報が、別の利用者の検索結果に表示される可能性がある。その過程から漏えいしかねない情報には、社内会議の議事録や電子メールの文面、財務情報や営業関連データが含まれる。
3)使用するプログラムを慎重に選択する:情報漏えいのリスクを下げるために、公開プログラムではなく、会社が提供しているプログラムを使うべきだ。法人向けのプログラムは通常、有料で提供されており、当該企業のデータを保護するためのセキュリティーが施されている。
4)出力結果を完全に信用しない:生成人工知能は、いわゆる「幻覚(hallucination)」を起こすことがあるため、出力された結果や成果物を鵜呑みにすることはできない。誤情報を提供すれば会社としての信用にかかわるため、生成人工知能が出力した情報がどこから来たかを確認する必要がある。利用会社らは技術ベンダーと契約して、出所が確かな自社データだけで訓練された生成人工知能を導入することもできる。
5)生成人工知能で作成したコンテントであることを開示する:生成人工知能で作成したコンテントを使う場合にそのことを開示して透明性を保つことが、特に顧客に接する立場の従業員にとっては重要だ。たとえば、広告キャンペーンに使うコンテントの場合、顧客にあらかじめ知らせるべきだ。
6)著作権侵害に注意する:生成人工知能の訓練に使われたデータ・セットには大量の著作物が含まれることが多い。したがって、生成人工知能の生成物には、そういった著作物が反映される場合があり、それが訴訟を招く危険性を高めることにつながる。米国の特許&商標庁ではこれまでのところ、生成人工知能の成果物に著作権を認めていない。同分野ではすでにいくつもの訴訟が起きている。明確な線引きがないのが現状だ。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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