x86サーバー市場に大きな転換 〜IBM、事業一部をレノボに売却か
- 2013年4月22日
- ハイテク情報
IBMがx86サーバー事業の一部を中国レノボ(Lenovo)に売却する交渉を進めていることについて、世界のサーバー市場に大きな変化をもたらす可能性が指摘される。
IBMは世界サーバー市場において出荷金額で世界3位のx86サーバー・メーカー。調査会社IDCの調査では、IBMは2012年の世界サーバー市場で15.7%を占めた。IBMの昨年の総売上高は1045億ドルで、うち56億ドルがx86サーバー事業だった。
IBMのx86サーバー事業の総売上高構成比は過去数年にわたって縮小しており、2010年には売上高55億ドルで17.4%だった。
コンピュータワールドによると、IBMでは、x86サーバー事業を少なくとも部分的に売却すれば、付加価値のより高い事業を強化する投資資金を得られると考えている。IBMの昨今の企業買収や新製品開発の動きは、特にデータ分析やビジネス・インテリジェンス(BI)の分野に注力していることを明示している。
一方のレノボは、世界トップのパソコン・メーカーになろうと狙っている。x86サーバー事業を取得すれば、その買収の一環としてIBMの幹部を取得し、ヒューレット・パッカード(HP)やデル(Dell)が得意とする北米市場を攻略できる足がかりを得られる。
「北米法人市場での販売ノウハウを手に入れたアジア企業はこれまでにない」と、フォレスター・リサーチのリチャード・フィチェラ氏は指摘する。
また、レノボがIBMのx86サーバーを部分的に買っても、レノボが米国の同市場を拡大できる保証はなく、逆に縮小させる可能性もあるともみられる。
「企業が変われば市場占有率も変わる」とIDCのジーン・ボズマン氏は指摘する。
IBMがx86サーバー事業を完全売却する可能性は低い。データ分析とBIのために特別に開発された統合システム「ピュアシステム(PureSystem)」に不可欠の高位サーバー事業については、IBMが保持することは確実だ。
下位機種であるx86サーバーの市場は、「ますます消耗品化している」「IBMは事業売却を躊躇する企業ではない」と、パンドIT(Pund-IT)のチャールズ・キング氏は話す。
利益率が低下した事業部門を簡単に売却してきたIBMの運営方針からいって、両社の交渉が成立する可能性は高く、レノボが米国のx86サーバー市場開拓に挑戦することになる、とキング氏は指摘する。
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