セールスフォースの人工知能代理人、3ヵ月で6000社の顧客を増やす 〜 人工知能バブル懸念浮上でも大幅に成長する4つの要因

人工知能バブルの可能性に関する議論が続くなか、セールスフォース(Salesforce)は法人向け人工知能サービス分野で顧客を大幅に増やしており、人工知能に対する法人需要の旺盛さをあらためて明示している。

ベンチャービート誌によると、セールスフォースの自律稼働型人工知能代理人(エイジェント)プラットフォーム「エイジェントフォース(Agentforce)」は、2025年第3四半期だけで新たに約6000社の顧客を獲得した。顧客数は前四半期の1万2500社から1万8500社に48%も増えた。年換算の年間経常売り上げ(Annual Recurring Revenue=ARR)は5億4000万ドルを超える。

エイジェントフォースの採用会社らは月間30億件超の業務手順を自動化している。同社はこれまでに累計3兆トークン以上を処理した。

エイジェントフォースの大幅成長は、メタやマイクロソフト、アマゾンといった技術大手らが人工知能への投資に注力し、投資回収の懐疑論が強まる状況とは対照的だ。エイジェントフォース好調には下記4つの理由がある。

1)カギは信頼:
調査会社フューチャム・グループによると、会社らが人工知能を試験利用から本番展開へ移行できるかどうかの分岐点は「信頼」にある。導入に成功すれば業務過程を効率化できる一方、誤作動や悪用のリスクがともなう。そのため、統治とセキュリティー、検証をリアルタイムで実行する「トラスト・レイヤー(trust layer)」が不可欠だ。エイジェントフォースはその点において高評価を得ている。

2)迅速な稼働開始とコスト削減効果:
法人向け出張管理サービス新興企業エンジン(Engine)は、顧客らのキャンセルに対応する業務にエイジェントフォースの人工知能代理人を導入してから12営業日で稼働開始した。それによって年間約200万ドルのコスト削減と顧客満足度の向上を実現した。高次元での新技術導入から実装、試験、稼働開始までを12営業日で実現することはかなり迅速といえる。

3)人工知能導入の成熟度には三段階:
セールスフォースは法人向け人工知能の成熟化を三段階でとらえている。第一段階は質疑応答、第二段階は業務過程の実行、第三段階は顧客の要請を待たずに裏側で能動的に働く機能だ。最大の成長余地は第三段階にあるというのが同社の見方だ。市場調査では、同社の法人向け人工知能基盤はマイクロソフトをわずかに上回り首位に評価された。CRM(顧客関係管理)に蓄積された顧客データと業務過程を基盤にした機能性が強みとみなされている。

4)2026年が本格普及の節目に:
専門家らは、2025年が法人向け人工知能導入の準備と検証の年だとすれば、人工知能代理人が本格的に普及するのは2026年以降という見方で一致する。人工知能プラットフォーム市場は2024年の1270億ドルから2029年には4400億ドルに拡大すると見込まれる。

代理人型人工知能の早期導入会社らは、人工知能運用の知見そのものが競争力になっている、とセールスフォースは指摘する。「様子見では遅れる。成功するには、人工知能活用の知見を社内に蓄積することが不可欠だ」「人工知能バブル議論の裏側で、会社らの現場では次なる競争がすでに始まっている」と同社は話している。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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