シスコ、ジュールエックスを1億ドル超で買収 〜企業通信網の電力管理

 シスコ・システムズ(Cisco Systems)は、通信網に接続された機器の電力管理ソフトウェアを開発する新興企業ジュールエックス(JouleX)を1億700万ドルで買収する。

 ジュールエックスは2011年にターゲット・パートナーズ(Target Partners)やテックオペレーターズ(TechOperators)、シグマ・パートナーズ(Sigma Partners)といったベンチャー・キャピタル大手から1720万ドルの投資を獲得している。創業は2009年で、ドイツのミュンヘンで設立されている。

 グリーンテック・メディアによると、ジュールエックスはシスコのインダストリー・ソリューションズ事業部門に組み込まれ、シスコのエネルギー管理システム「エネルギーワイズ(EnergyWise )」に統合される見通しだ。

 ジュールエックスは、過去11四半期連続の増収を記録している。シスコのほか、BMWやソニー、コカ・コーラ、エクイファックス、ネスレ・ウォーター、シュナイダー・エレクトリック、ダンスク銀行、ドイツ・テレコムといった多数の大企業を顧客に抱える。2012年には100社の新規顧客を開拓した。

 「当社の顧客は、持続可能性革命を率いている」「当社が遂げてきた未曾有の成長は、エネルギー管理ソリューションの重要性を示している」と、ジュールエックスのトム・ヌーナン社長兼最高経営責任者(CEO)は話す。

 起業家のヌーナン氏は、ISISという企業を以前に立ち上げており、ISISをIBMに15億ドルで売却している。

 ジュールエックスのソフトウェアは、企業内通信網とITシステムが消費するエネルギーを測定して管理でき、付加的なハードウェアを必要としない。同社によると、顧客のエネルギー・コストを最大60%削減した実績もある。

 データ・センターのエネルギー効率化技術の分野には、シーメンスやシュナイダー・エレクトリック、ABB、トレイン、エマーソンといった大手から、RFコード(RF Code)、パワーアシュア(PowerAssure)、シナップセンス(SynapSense)、センティラ(Sentilla)、ビジレント(Vigilent)といった新興企業までがひしめく競争の激しい市場になっている。

 しかし、「必要なソフトウェアが少ない」とヌーナン氏は指摘し、本当に必要なソフトウェアを開発して提供することが「当社の最大の差別化要素だ」と話す。

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