大規模データ解析が企業ITを支配 〜IBM、認知電算時代の到来を確信

 企業向けITは昨今、分析や洞察にけん引される電算時代を迎えつつあり、その分野は大規模データ(Big Data)解析に支配される。そういった動向認識は、IBMの幹部がここ数ヵ月の間にさまざまな公の場で示してきた同社の見解だ。

 インフォメーション・ウィーク誌によると、医療専門家や交通管理者、気象学者の職務がコンピュータによって置き換えられることは当面ないが、コンピュータによるリアルタイムのデータ解析機能は、それらの分野における意思決定を大幅に向上させる、とIBMは考えている。

 同社はそこで、人間の脳を模倣した認知コンピュータ(cognitive computer)システムの開発に世界規模で取り組んでいる。

 IBMは、SMAC(ソーシャル、モバイル、解析、クラウド)と認知システムの一体化が21世紀の企業と政府、そして社会一般に大きく影響すると考えており、それはIT業界における主流の考え方でもある。

 IBMのケリー・ホリー主任研究員は同誌の取材に対し、スマック(SMAC)や機械学習、そしてセンサー主導のモノのインターネット(Internet of Things)に関するIBMの取り組みについて概要を説明し、同社が「認知電算(cognitive computing)」と呼ぶ新時代において、それらすべてが主要な役割を果たすと述べた。

 IBMの認知技術の代表例は、自然言語で提示される質問に答えるワトソン(Watson)コンピュータ・システムだ。ワトソンは、大規模データ解析を得意とするスーパーコンピュータで、米国の人気クイズ番組で優勝者との対決に勝利して知名度を一気に上げた。

 IBMは3月、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC=Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)と協力し、ワトソンの電算能力とMSKCCの医療データを統合する認知システムを開発すると発表。腫瘍学者による診断と治療方法の検討を支援することで、患者ごとに最善の治療法を見つけることを目指している。

 ホリー氏によると、気象予報も大規模データ解析が有効と考えられる分野で、IBMは現在、特定地域において激しい暴風雨を3日前に予測するディープ・サンダー(Deep Thunder)という研究を進めている。

 ブラジルのリオデジャネイロ市は、暴風雨を予測して被害を最小限に抑えるためにディープ・サンダーの導入に着手した最初の自治体となった。

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