シリコンバレーの業界進出加速化〜デトロイトとの間に軋轢も

 シリコンバレーのハイテク企業が過去5年間、自動車業界に目覚しい進出ぶりを遂げている。

 オートモーティブ・ニュースによると、グーグルのアンドロイドOSを初採用したスマートフォン(多機能携帯電話)が登場したのは2008年10月だ。それ以降、今夏までには自動車に匹敵する10億台のアンドロイド端末が世界で利用されている。

 ここで問題なのは、矢継ぎ早に新ソフトウェアを市場に投入するシリコンバレーと、慎重に段階を踏むアプローチで知られるデトロイト間の研究開発(R&D)のペースの違いだ。

 その代表例として、ワイファイ(Wi-Fi)接続による車車間通信を可能にするコネクテッドカー技術が挙げられる。発想自体は新しくなく、議会は98年、5.9ギガヘルツの周波数帯を確保した。しかし、15年経過した今でも車車間通信はR&D段階で、商用化には少なくともあと数年を要する見通しだ。

 業を煮やすシスコ・システムズなどハイテク大手は、議会や連邦通信委員会(FCC)に対して高速ワイファイ向けの周波数帯の開放を働き掛けている。一方の自動車メーカーは、高速化によって衝突回避システムなどに支障が生じる恐れがあるとして反対している。

 20年までの商用化を目指す日産自動車をはじめ、メーカー各社は自動走行車の開発に注力しているが、完全な自動走行車の実現は「何年も先」(マイケル・ロビンソンGM副社長)になりそうだ。現時点では、車載コンピュータ技術の開発においてシリコンバレーがデトロイトをリードしている。

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