税回避の本社移転に歯止め〜財務省、規制を即時導入
- 2014年9月23日
- 米国ビジネス
財務省は22日、多国籍企業が米国から国外に本拠地を移して高額課税を逃れる「タックス・インバージョン(納税地変更)」の防止策を発表した。発効は同日から。連邦議会で法律を整備する見通しが立たないため、政府として可能な対策を打ち出した。
ロイター通信によると、新規制は、納税地を変更した企業に対する税優遇策を制限し、今後の本拠移転を難しくする。米企業が外国企業との合併などで海外に「本社」を設立しても、持ち株比率が80%以上の場合は米企業と見なすといった内容が含まれる。
既に本拠の移転を決定したものの、手続きが完了していない企業は規制の対象になる。最近カナダのドーナツ・チェーン大手ティム・ホートンズ買収を発表したファストフード大手バーガーキング・ワールドワイドの場合、本社をカナダに移転する手続きの途中にある。
今後予想されるこうした問題について記者団から問われた財務省幹部は、「今日中に国内本社を閉鎖して海外に移転すれば新規制の制約を受けない。明日以降であれば対象になる」と述べた。
議会では過去数カ月間、企業の納税回避による法人税収の落ち込みを懸念し、対策を促す声が高まっていた。しかし民主党が早急な法整備を求めているのに対し、共和党は抜本的な税制改革に含めることを主張している。
国内では1980年代前半以降、約50社がインバージョンを行ったが、08〜09年の金融危機以降は半数しか本拠移転の手続きを完了しておらず、新規制の対象になる企業は少なくない。
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