チップ内蔵カードの導入、零細商店には荷が重い
- 2015年7月9日
- 米国ビジネス
銀行やカード業界は、セキュリティ強化を目的にクレジットカードやデビットカードを従来の磁気テープ式からチップ内臓型に切り替えている。ところが小さな商店にとっては、新型カードへの設備対応が大きな負担になっている。
AP通信によると、カード業界は、新しいカードリーダーやソフトウェアを2015年10月1日までに準備するよう商店に求め、もし間に合わないと偽カードを使った不正取引が発生した場合のコストを店側に負担させようとしている。
しかし零細商店は、小売り大手のように機材を大量購入して割引を受けられる訳ではなく、新しいシステムを設置するIT専門チームも持っていない。商店や中小企業が使うカードリーダーは最低でも100ドル以上する可能性が高く、ほとんどのソフトウェアは安い物で数百ドルだが、在庫、顧客、取引業者などの情報も管理できる複雑なシステムになると数千ドルに上る。
姉妹店を数カ所営業するレストランなどは最も複雑なシステムを使っていることが多く、出費も大きくなる。ルイジアナ州ニューオーリンズで4店を展開しているのレストラン「ディッキー・ブレナン」は、カードリーダーとソフトの交換に2万5000ドル以上の出費を見込んでいる。これを値上げで埋め合わせるつもりはないが、防犯カメラ・システムの更新が先延ばしになりそうだという。
システムの交換は素人には無理で、ITコンサルタントを雇う必要があるが、設置やシステムの作動確認には1時間100ドル以上を請求される可能性がある。さらに、レジと在庫管理などのシステムを組み合わせているところはハッキング被害を想定して精算部門を切り離すべきとの指摘もあるが、そうするにはさらにコストがかさむ。ハイテク調査ガートナーのアナリストは「この機会にシステムをより安全にしたい場合、数千ドルかかる可能性がある」と見ている。
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