機械学習が産業界にもたらす恩恵 〜 自動化で販売増、問題察知でコスト削減

 新しいIT用語として最近頻繁に登場するのが「機械学習(machine learning)」だ。ARCアドバイザリー・グループの専門家デイヴィッド・ホワイト氏はこのほど、その有用性に関する調査報告書を公表し、機械学習がいくつかの産業界に革新をもたらす可能性を示した。

 フォーブス誌によると、ホワイト氏は、モノのインターネット(IoT=Internet of Things)の登場によって、特に供給網業界で機械学習が議論の的になっていることを指摘するとともに、機械学習がこれまでの予想分析よりすぐれている点を強調した。

 たとえば、複数のデータ・ストリームからデータを集める油田掘削装置(リグ)に機械学習技術を取り入れることで、水注入ポンプの圧力計の値が基準値からずれている場合に、ポンプ内の密閉部分が数日内に故障することを察知できる。それによって、問題発生前に部品を交換でき、採掘機器停止時間の回避または大幅短縮を可能にする。

 同氏によると、石油採掘業者は、機械学習技術を応用した早期警報システムを使うことで、想定外の機器停止による約750万ドルの損失を回避できる。

 また、アマゾン(Amazon.com)やオンライン動画配信サービス最大手ネットフリックス(Netflix)の商品自動推薦機能にも機械学習が活用されている。利用者の過去の消費内容や閲覧履歴を学習することによって、個々の利用者の嗜好を予想し、閲覧商品ページに推奨商品を表示できる。

 機械学習が予想分析と異なる点は、データが増えるにつれて機能を自己改良でき、自動処理を可能にすることだ。機械学習で利用されるアルゴリズムは、新しいデータの常時流入によってつねに学習し、処理機能の精度を自身で上げていく。

 アマゾンでの機械学習技術の応用は、供給網の劇的効率化を可能にしている。過去のデータに現在のデータを加えてリアルタイムの動向をつねに学習することで、何がどこでどれほど必要かをより正確に予想できるようになり、仕入れや在庫管理、人員調整、配送センター機能の最適化を可能にする。

 そういったことを従来の予想分析によって実現するには、大勢の技術者を動員して巨大なソフトウェアをプログラムし、常時集まるデータを反映させるシステムを構築する必要がある。

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