昨今におけるロボティクス革命は、製造から金融、小売まで多くの業界で業務を自動化および効率化し、人件費を節減することから、これまで米国外に業務処理を外注してきた企業が仕事を米国内に戻せるようになるという期待も浮上しているが、実際にはそうはいかない。
ビジネス・インサイダー誌によると、米国内常勤者の仕事を国外に外注した場合、人件費を平均65%抑えることができる一方、ロボットを米国内で使う場合には最高90%の常勤人件費を削減できる、とデロイトは調査結果を報告している。
したがって、国外に外注していた業務を米国内に戻してもロボットが従事することになり、米国内への雇用機会回帰をそれほど期待できないのが実情だという。
ロボットには柔軟性や判断力がないと指摘されるが、不満を持たず、間違いをせず、病欠もしないという利点もある。そのため、「アウトソースド(outsourced)」から「ボットソースド(bot-sourced)」に転換する業務が増え、どっちにしても米国内での雇用機会創出には貢献しない。
「業務処理が自動化されるほど、人件費の安い国外に外注することの利点が弱まっている」とコリン・ルイス氏はハーバード・ビジネス・レヴュー誌で書いている。
メリル・リンチの調査報告では、米国拠点の製造業経営者らの半分以上は、雇用機会を米国に戻したいと考えているが、その理由は、雇用創出ではなく、人件費のさらなる節減と品質および品質管理の向上で、それらをソフトウェアによる自動化やロボティクスによって実現するというのが狙いだ。
モトローラをグーグルから買収した中国レノボ(Lenovo)は2013年に、ノース・カロライナ州に工場を開設し、テキサス工場ではスマートフォンのモト・エックスを生産する方針を表明したが、それは仕事の大部分が自動化されたため、上昇を始めた中国内人件費よりも米国内ロボットの方が安上がりだからだ。
同じことは、アイフォーンの組み立て業者で知られる台湾フォックスコン(FoxConn)でも言える。同社は、3000万ドルを投じてペンシルバニア州に工場を建設する計画を2014年に打ち出している。
製造業がアジアから米国内に戻ることは、同分野での一部の職種が米国内で生まれることは確かだが、単純な反復作業や自動化に適した業務のほぼすべてはソフトウェアとロボットに取って代われる。
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