米国防総省の国防高等研究計画局(Defence Advanced Research Projects Agency=DARPA、ダーパ)は、兵士の脳に移植できるチップの開発を進めている。空想科学の世界でしか存在しないサイボーグ戦士が生まれるのも、それほど遠い未来の話ではなさそうだ。
コンピュータワールドによると、デジタル機器と人間の神経経路をつなげる神経インターフェイスの開発に着手したダーパは、そのインターフェイスを人の脳に埋め込むことで、デジタル機器からのデータを脳に直送できるようになる、と説明している。
兵士はその結果、敵の位置や部隊の配置、戦闘方法、戦術の指示を簡単に把握できる。
神経インターフェイスは、デジタル機器に使われているデジタル信号を人間の神経系が情報伝達に使う電気化学信号に変換できる。
ダーパのフィリップ・アルヴェルダ神経工学システム技術責任者によると、そういったインターフェイスにはすでに二つある。一つは、「2台のスーパーコンピュータを旧式モデムでつなげているような構造」で、もう一つは、人間の脳に利用する認可が下りているものの、転送できるデータの質が低く雑音に近い状態だ。
ダーパが取り組んでいる新型のインターフェイスでは、最大100万本の神経への情報伝達を実行できる。
脳へのデータ直送技術は数年前から取り上げられている。インテルは、脳内に埋め込まれたチップでコンピュータを利用できる技術が2020年までに開発されるという予想を6年以上前に示している。
また、カリフォルニ大学バークリー校の研究者らも、検知器が壁や家具だけでなく人間の脳にも10年以内に埋め込まれるようになる、と報告している。
その一部はすでに応用されている。ノースウェスタン大学の研究班は、腕の麻痺した患者が特別な機器を使うことで、脳からの信号を筋肉に送って腕を動かすことができたという臨床結果を4年前に発表している。
ダーパの開発事業では、多種多様の分野の科学者らが協力することになる。それらの分野には、神経科学や合成生物学、省電力精密機器、光工学、医療機器が含まれる。
ダーパは、同研究の関連分野の関係者を集めた会議をバージニア州アーリントンで2月2〜3に開く予定だ。
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